~~~ 原文 ここから ~~~
伊藤計劃 著 『ハーモニー』の ブックトークの抜粋 著者A(匿名)
最後にこの5冊の本を通して伝えたかったことは何かというと、幸せとは何か、そしてそれはあらゆる人にとって幸せかを考えてほしいと言うことです。この本の一冊目は非常に分かりやすい内容で、戦争はしてはいけない、人を殺すことは良くない、と言ったいわば定番のものです。しかし、最後の五冊目ではどうですか?「私の心が幸福を拒絶した」と言っています。これはどういうことなのか、僕自身かなり悩みました。そして幸せのヒントはこの五冊目のまさにこのフレーズにあるのではないかと思いました。五冊目の世界は先程も言った通り、完全な健康、至福、調和のとれた社会です。こんな社会、一見誰もが理想としそうです。しかし、この本に書かれていた主人公はどうでしたか?嫌で退屈で、そして何より自分が嫌いで、自殺を図りました。果たして幸せだったのか。
伊藤計劃という人は36歳でなくなりましたが、だからといって報われた人生ではありませんでした。受験には何度も落ち、友人からは馬鹿にされ、さらにやっと作家としての道が開けた瞬間に34歳の若さでガンがみつかり、その1年後には全身に転移、くり返した手術により、足は動かず、ものもほとんど食べられず。そんな人が書いた本は「戦争、虐殺、命、平和、少年、そして自らが嫌と言うほど味わった病」そんなものを作品にメッセージとして残していました。
しかし、死の直前、たった2週間で書き上げたと言われる遺作、ハーモニーはその全てをかなえた世界を描き、そしてそれを自分の手で壊しています。一体何が幸せで、一体何が不幸なのか。そんなことを考えて欲しかったのではないかと思います。人というのは十人十色といわれる様に全員が全員違います。だから、人の幸せはそれぞれ違うのです。幸せをつかむこと。しかし、それを他人がどう思うかは分からない。だから決して他人を自分の感情の型にはめるようなことをしてはいけない。そういったメッセージを僕はこの本から読み取りました。多分、ここにいる二人がこの五冊の本を読んだら違う答えが出てくるかもしれません。あるいは、全くおもしろくないし、何言っているのか分からないと言うことになるかもしれません。僕はそれでもいいと思います。例え違う答えにたどり着いても、例え全く分からなくても、それでも全然いいと思います。というか、むしろそっちの方が自然です。自分が好きな本を見つければいいし、そしてその本を来年ここで大いに語ってもいいし、一生の宝物にしてもいいです。そしてそれをどんなに馬鹿にする人がいても、自分だけの大切なものにすればいいと思います。長くなりましたが、このブックトークで少しでも得るものがあれば幸いです。ありがとうございました。
~~~ 原文 ここまで ~~~
上記の「原文」のIM診断結果は100点満点中の「39点」でした。
・接続詞が多い
・副詞が多い
・語尾が不統一
・名詞率が低い
などが原文の主な減点の理由として指摘されました。これらの指摘に従って、次のように文章を修正してみました。
### 修正文 ここから ###
伊藤計劃 著 『ハーモニー』の ブックトークの抜粋 著者A(匿名)
あらゆる人にとっての幸せとは何かを、この五冊の本を通じて著者は読者に考えさせようとしています。
一冊目では「戦争はしてはいけない」や「人を殺すことは良くない」といった分り易い内容ですが五冊目では「私の心が幸福を拒絶した」と述べられています。この変化の意味を僕は考えます。幸せのヒントはこのフレーズにあるのだと考えます。五冊目の世界には、完全な健康、至福、調和のとれた誰もが理想する社会が描かれています。そこに描かれる主人公は、退屈な日々の中で自己嫌悪に陥り、ついには自殺を図ります。
著者の伊藤計劃は36年の人生は決して幸せなものではないです。受験には何度も失敗し、よい友を得ることもなかったのです。34歳で作家となり、同時に癌を発症させてしまいます。癌は一年のうちに彼の全身に転移します。幾度もの手術で下半身は麻痺し、食事も喉を通せなくなる末期に至ります。そんな彼は、戦争、虐殺、命、平和、少年、そして自らが嫌と言うほど味わった病をモチーフとした作品を残したのです。
『ハーモニー』は、伊藤計劃が他界する直前の2週間で書き上げたと言われる遺作です。理想の世界を自らの手で壊してく物語が描かれています。創造と破壊の中で、何が幸せで、何が不幸なのかを考えて欲しかったのです。人は十人十色の個性を持っていて、幸せもそれぞれに異なります。自分の幸せを、他の人に与えても同じ幸せにはならないのです。自分の幸せは、他の人の不幸せとなることも、その逆も起こり得るからです。だから他人を自分の価値観の型に嵌めるようなことをしてはいけないのです。僕はこの本からそんなメッセージを読み取ります。
この教室にいる皆さんが、これらの本を読むと、きっとまた違う答えが出てくるはずです。なかには「全く面白くない」や「意味が分からない」と思う人も出てくるはずです。僕はそれでもいいと思うし、それが自然だと思います。次の機会には、別の本について語り合い、一生の宝物となる本が見つかるはずです。その本をどんなに馬鹿にする人がいても、自分だけの大切な宝物にすればいいと思います。このブックトークが皆さんの心に響くことを願っています。最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。
### 修正文 ここまで ###
上記の「修正文」のインテリジェンスマイニング診断結果は100点満点中の「91点」でした。
・名詞率が低い
が原文の主な減点の理由として残されています。