情報社会学科で学んだ思い出(Sさん)

 (この記事内の画像は、個人情報に配慮し、承諾のないかたのものには加工を施しました)

もう20数年前になりますが、私が入学した当時、情報社会学科は静岡大学情報学部の中でも新しい学科でした。新設の情報学部棟が完成し、4年間を浜松キャンパスで過ごせるようになり、整った校舎と最先端の設備に胸を躍らせて入学したことを覚えています。(同級生と約20年ぶりに再訪して。向かって左から2人めがSさん)

講義は幅広く、情報学に加えて、コミュニケーション学、社会学、経済学、文学、心理学、ジェンダー論など多様な分野を学びました。授業の一環で浜松まつりに参加したこともあります。地域の方々が最も盛り上がる行事を客観的に観察し学ぶのは、地域に根ざした大学ならではの経験でした。新しい学科ということもあり、新聞社や企業出身など実務経験の豊かな先生方が多く、実践的な視点から学べたことも印象に残っています。

大学1年の夏には1か月間の上海留学を経験し、それをきっかけに中国語や中国文学に関心を深めました。

(安徽省蕪湖の李白紀念館にて。向かって左がSさん)

3年生からは許山研究室に所属し、中国からの留学生との交流を通じてリアルな中国文化に触れ、中国の小説や随筆を読み進めました。3年生の夏に滞在した安徽省蕪湖は、華やかな上海とは異なる静かな街。日本語に頼らない生活に戸惑いながら「日子難過」(巴金『随想録』に登場することばで、「つらい」の意)と呟いた日を思い出します。こうした随筆も、原文で味わえるようになりました。

(勉強会のあとの手巻き寿司パーティ。向かって左がSさん)

ゼミでは、勉強の後に鍋を囲むのが恒例でした。大量の文献に囲まれ、議論を重ねながら鍋をつつく、そんな温かな時間が懐かしいです。

卒論では、初めて100ページ近い論文執筆に挑みました。論文の形式、参考文献の扱い、根拠の示し方、結論の導き方まで、すべてが学びの連続でした。友人たちの卒論も個性豊かで、データ収集や助言を互いに支え合いながら乗り越えた日々は、かけがえのない思い出です。

(卒業研究合宿を終えて、大井川鐵道のなかで。向かって右がSさん)

40代半ばとなった今、久しぶりに大学時代の友人と浜松キャンパスを訪れました。情報学部棟、学食、アパート、アルバイト先、浜松城を巡る中で、当時の情景が次々と蘇りました。LANケーブルをつないで夜遅くまで課題に取り組んだラウンジは、今も変わらずそこにあり、学生時代を象徴する場所です。

(久しぶりに大学内を散策)

大学の4年間はあっという間でしたが、人生の中で最も自由で充実した時間でした。学びを通して世界が広がり、全国から集まった仲間や恩師との出会いが、私の人生をより豊かにしてくれました。

社会に出てからも、大学で培った「考える力」「伝える力」「つながる力」は、仕事や人間関係の中で活きています。情報社会学科で過ごした日々は、今の自分を形づくる大切な土台です。