今年も静大祭連動、キャンパスフェスタin静岡の展示企画に参戦します。
今年のタイトルは「江戸であそぶ」です。
日時:11月16日(土)、17日(日) 両日とも 10:00~16:00
会場:人文社会科学部 B棟 2階 207・208室
江戸文化を学んでいる学生たちが、その魅力を伝える様々な作品を作って展示します。また、学生たちが参考にした資料を始め、教員たちのコレクションも展示。特に今年度は、1年生が、江戸時代の書物や錦絵のくずし字を判読、きれいな和装本に仕立てました。
体験コーナーもあり、この機会にしか見ることの出来ないレアな資料が沢山。必見!!
以下、もう少し詳しく紹介します。
この展示は、私が担当する、前期、一年生向けの授業の成果物と、その元になった私の所持品を併せて展示する、というのがいつものコンセプトなので、それに従った過去のものも一緒に展示します。おもちゃ絵とか、錦絵類など。
今年の授業は、崩し字判読と和装本の装丁体験が中心だったので、最終レポートは私の持っている錦絵や和本をグループで翻刻して、解説などつけつつ製本する、というものでした。錦絵もそのまま翻刻するのではなく、本にしたり、ちょっとずつ工夫があります。
というわけで、個別作品紹介!
一枚物の謎々。なぜか競作になりました。一つの班は答を隠して考えるように、今ひとつの班はいい感じの模写で見せます。
模写したチームは背中合わせに貼られていた英単語の錦絵も翻刻しました。
謎の本もあります。こちらは謎々ではなく謎かけの豆本。オチを別のページにして考えさえる工夫が。答は実物でどうぞ。
謎、もう一つ。所謂「鈍字」の一枚物。すっとぼけた絵がいかにもおもちゃ、と言う感じですが、学生たちは紙にも絵にもこだわって、解説付きの冊子になりました。
英語関係では『世界商売往来』も。元が縦書きの和本なのに、なぜか右開きの横書きに。絵の模写が愉快です。
次。『絵合たのしみ艸』。謎と言うよりゲームというか、手品というか……。
二冊一組で、相手の選んだ絵を当てる、簡単な手品のような絵本。
このチームはこの本の仕組みを理解して、自分たちで別バージョンを作りました。ちゃんと遊べます。すごい。
ちょっと文字が違いますが、『東京日日新聞』。東京日日の新聞錦絵と言えば芳幾ですが、こちらは同じ国芳門下、おもちゃ絵で知られた芳藤の、ミニ新聞錦絵。元の新聞は不明。
次は新聞ではなく瓦版。いわゆる安政大地震の先駆け、嘉永7年6月(1854年7月)の伊賀上野地震
の瓦版を、冊子体に。読みづらい文字、知らない地名に苦労しましたが、災害の様子が伝わってくる資料でした。
一年生の作品、最後は今年の問題作。『小野徒玉茎嘘字尽』。『小野篁歌字尽』のパロディ春画本の一部を翻刻、解説。授業では時々春画を見せるんですが、嫌悪する学生もいるかも知れないので、一応断ってから。今年は食いつきのいい学生がいてこういうことになりました。
ここまでが今年の新作。グループワークだったので点数が少ないんですが、力作揃いです。 このほかに、去年までの作品も展示、勿論、組上げ含め、おもちゃ絵の体験コーナーもあります。
さて、ここまでは、例年通りの展示なんですが、今年は二部屋。
もう一室は、同僚の地質学者、Darius Greenidgeさんのコレクション、三条六角巻凧です。
学生時代からの付き合いだとかで、小林祥二さんの作品を沢山所蔵しています。手書きの武者絵。このコレクションを展示するのは多分初。というか、六角巻凧がこれだけ静岡で見られるのも初めてかも。これだけでも見に来る価値ありです。
随分長い記事になりましたが、大学祭の片隅、二日間限りにしては、かなり贅沢な物になったと思います。山の上まで、ぜひお越しください。同じフロアで中文や考古・古文書の展示、同窓会コーナーなどもあります。