私たちの研究室では、生理生態学的手法を用いて樹木の生き様を調べ、この知識を森林生態系の保全、再生、修復 の技術に結び付けることを目標にしています。温帯から熱帯、湿潤帯から半乾燥帯、そして天然林から人工林まで、様々なエリアをターゲットとしています。
単一の樹種で構成される林もあれば、多様な生物種から構成される森林までさまざまです。それぞれの森の機能を高めるために、構成する種の様々な性質を解明しながら森の現実的な取扱いを研究しています。森を知り、質の高い「緑」をいかに実現させるか、私たちと一緒に考え研究しませんか。
<樹木の生理生態学的メカニズムの解明>
私たちは、光合成や呼吸、蒸散といった森林の炭素循環に関わる生理特性や、環境調査を得意としています。森林の構造は、樹種、齢構成、地形によって複雑に変化しており、その内部環境も複雑です。こうした複雑な環境と、そこに生育する樹木の生理生態的特性の関係を調べ、物質循環や個体の成長、競争、共存とその樹種による違いなど、森林管理保全の基礎となるメカニズムの解明に取り組んでいます。こうした研究は、深刻化する気象変動の影響を評価・予測する上でも重要です。
<森林生態系のモニタリング>
天然林を中心として固定試験地を設定し、樹木の動態(発生・成長・枯死)や物質循環、フェノロジーのモニタリングを行っています。人工林の樹木は約50~60年で伐採されることが多いですが、樹木の寿命はもっと長く、数百年以上になります。そのような樹木の生き様を理解するには、上述したメカニズムに関する研究だけでなく、長期間にわたるモニタリングも重要です。地道な作業ですが、データを積み上げることで、気象変動が樹木の成長やフェノロジーに与える影響や、結実の豊凶が森林の構造と物質循環に与える影響など、短期間の調査ではわからない樹木ならではの特性が見えてきます。
<多彩な研究アプローチ>
フィールドでは、毎木調査などのアナログ的手法から、高精度ガス分析計や地上LiDARなどの先端機器を用いた調査、ドローンやIOTカメラなどのリモートセンシング技術の導入など、様々な手法を駆使して森林の構造と機能を調査しています。また、フィールド調査だけでなくラボ実験も行います。例えば、観測機器の設計や開発、プログラムを利用した分析やモデル開発、色素抽出や成分分析、細胞観察など、様々な研究を行っています。自身の興味に応じた調査・解析技術を学ぶことができます。
野外での幹呼吸測定(左)、リターの回収(右)
実験室における測定システムの工作と調整(左)、組織の呼吸活性の測定(右)
ドローンを使った調査(左)、葉のガス交換速度の測定(右)
<研究室への分属を希望する方へ>
研究意欲のある方を、内外問わず随時募集しています。興味のある方はまず教員にメールで連絡してください。