20220930
短い総説論文が出版されました。出版までに山あり谷ありでした。下記の文章は2022年1月に私が書いたメモです。その後、出版されたかというと、いつまでも音信不通で、7月末に突然見知らぬコピーエディターから再び校正が来ました。ささやかな文の修正と、図のささやかな修正がありました。図の修正を依頼されたフランス人は国際会議のホストとバカンスでぷっつん。そのうち編集部のアートディレクターもバカンスでいないらしい。私もアルプスに行って、結局、オーストリアの責任著者が最終校正をやってくれました。後で聞いたところ、なんらかの事情がありコピーエディターが変わったようです。大事でなければ良いとおもいます。
20220118
2021年の1月から準備していた「総説」論文が受理されたようです。正式な「受理」の知らせの前に、校正がきたので、「ようです」と表現します。合衆国英語の校正が入り、多くの修正が必要ですが、数日以内に返送せよですから、受理されたと考えます。まだ印刷されていないので、気が早いのですが、経緯を覚え書きとして書いておきましょう。
まず最初にゲスト編集者の一人から、2022年最初の特集号に載せるので、「ハロゲン元素の高温高圧実験研究のまとめ」をフランス人とオーストリアの大学におられるドイツ人(かな?)と一緒に書いて欲しいと依頼がありました。私は、「実験だけではなく、天然の流体包有物の観察も入れても良いなら書きたい」とお願いして、題名の変更の了承を得ました。一緒に書くフランス人とは1995年にブリストルの会議で会った時からの知り合いで、その後、ドイツのバイロイトでは、私にダイアモンドアンビルセルの使い方を教えてくれた3人の一人です。さらに、2014年に共著で論文を書いたことがあるので、(公私ともに)よく知っています。たいへんチャーミングな研究者です。オーストリアの大学の研究者は若い人で、面識はありませんでしたが、特集号のゲスト編集者と同じ大学におられた研究仲間のようです。今回一緒に仕事をして博学でしっかりした研究者とわかり、ありがたかったです。
若い人に第一著者になってもらって、書き始めました。3人の得意分野を書いて足して最初の原稿としました。査読者はカナダの実験岩石学の大先生と、フランスの博学な実験岩石学の研究者で、かなり問い詰められました。その結果、最初の原稿よりは「より正確に」、また「読みやすく」なったと思います。大先生には、3人が自分の研究の宣伝をしているだけじゃないかと、そうは書かれていませんが、そう受け取れるようなある種の非難やあざけりが書かれていました。私個人の回答は、「自分が研究していることは、もっとも重要なことで、それを書いただけだ」ということと、「限られた引用文献、文字数、図の数では、網羅することは物理的に(実際は能力的にも)無理」ということでした。その後、11月には、印刷用の図を送れといきなり来たので、アポイ岳の山頂から、今晩時間があれば送るとだけメールした記憶があります。その夜、みなさんが羊の肉を買い出しに行ってくれている間に、宿舎から図を送り直しました。
さて、書き直した原稿はすんなりと受理されたかというと、その前に雑誌の編集長が読むことになりました。合衆国で学会誌の編集を長年勤められていたベテランの編集長の先生が英語を直してくれました。私たちは3人とも英語圏出身ではないので、たくさん直してくれました。私は、意味が変わるところと、レトリックのこだわりがあるところで、いくつか抵抗しました。オーストリアの若手研究者は、「さずがネイティブに直してもらえてうれしい」と申されていましたが、経験上、私には
嫌な予感がありました。12月になって、私たちの図と同じような図がほかの章にもあることに編集長が気づいて、そこを除くように、そして、それに合わせて全面書き直しとなりました。さらに、実験の章なのだから実験だけ書け、とのお言葉でした。この時は、ゲストの編集者も、まっさおだったと思います。共著者からは、驚きと同時に落胆の声があがりました。私が共著者に送ったメールは、No panic. No over reaction. だけです。実験は天然の観察と対になって初めて意義がわかるので、実験と直接関係する天然の観察事実は載せてもらうようお願いしました。クリスマス前までに直したら「見てやる」とのことで、急遽直しました。問題となった図を取り下げて、書きたいことは本文のみで残しました。節の順番を大幅に入れ替えて、実験手法とその結果に力点をおいたふりをしつつ、他の章と重ならない天然での観察を(実験に合うじゃん!と)書けるように組み替えました。
まだ印刷されていませんからわかりませんが、とりあえず、ホットなうちに感想を書いておきました。最近は、このような文章ですら外国語にも自動翻訳できますから、個人的に問題が生まれるかもしれませんが、こんなこともあるよという話として発表しておきます。