当研究室について

農業や緑地管理を行う上で、雑草の防除は重要な課題です。雑草の特徴を明らかにし、雑草を防除する方法を開発する学問、それが雑草学です。
何気なく生えているように見える雑草ですが、じつは畑や路傍などの特殊な環境に適応した特殊な性質を持っています。当研究室では、「雑草とはどのような植物か?」「雑草防除から雑草管理へ」を大きなテーマとして、雑草の生理生態の解明、雑草の防除法の開発、雑草の利用法の開発の研究に取り組んでいます。
研究室では、主に以下のような研究に取り組んでいますが、学部生の卒業研究では、個々の学生の興味・関心に基づいて、自由にテーマを設定しています。

1.雑草の生理生態の解明
雑草を防除するためには雑草の生態を知る必要があります。特に雑草は、環境の変化に対する適応能力の大きい植物です。そのため、雑草の基本的な生理生態や種内変異、環境応答に対する研究を行っています。

2.総合的雑草防除法の開発
雑草を効果的に防除するために、さまざまな防除手段を組み合わせて、雑草の発生・生育量を抑制する管理技術の開発に取り組んでいます。

3.植生管理による有用生物多様性の向上
雑草は病害虫の発生源となる一方、天敵のすみかともなります。そのため、雑草の植生を変化させることによって害虫を減らし、天敵を増やした植生管理が可能となります。そこで、雑草学の視点から有用生物多様性を高める効果的な管理法の開発を行っています。
また、雑草を含む農村生態系の生物多様性についても、研究を行っています。

主要な研究成果
・総合的な雑草管理による斑点米カメムシ抑制技術を開発しました。
・斑点米カメムシの奇主植物を抑制する「高草刈り」を提案しました。
・新しい発想による草刈りロボットの基盤技術を開発しました。
・茶栽培のために維持される半自然草地(茶草場)の植物の種多様性が高いことを明らかにしました。この結果を基礎として、「静岡の茶草場農法」が世界農業遺産に登録されました。

写真1 雑草群落の種組成の調査
写真2 作物と雑草との競合や相互作用の調査

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