faculty/ 3月 25, 2024/ staff

教授 福原長寿 Choji Fukuhara
静岡大学 浜松キャンパス
(教員室)工学部3号館213号室
(実験室)工学部3号館233号室
Tel & Fax: 053-478-1171
E-mail: fukuhara.choji[at]shizuoka.ac.jp
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研究キーワード
カーボンニュートラル / 二酸化炭素 / メタネーション / 炭素固定 / 触媒反応プロセス

研究内容
1. CO2の物質変換のための触媒システム開発
温室効果ガスによる異常気象の発生が顕著です。2020年に日本は2050年のCO2排出実質ゼロ宣言を世界に向けて発信しました。約12億トンの膨大なCO2の削減に向けた科学技術の開発は必須です。この研究では、発電所や工場などの産業プロセスから排出されるCO2を原料に、メタン化反応(methanation)で資源となるメタン(CH4)に変換する触媒材料や触媒反応システムを開発しています。メタン化反応は、日本の政府も “2050年グリーン成長戦略(2020年12月発表)政策”で中心的な科学技術として取り上げています。これまでに当研究室では、通常の室温域でメタン化反応が起動するオートメタネーション(Auto-methanation)現象を世界に先駆けて発見し、その発現の機構や利用方法について研究しています。世界初のこの科学現象を使ってCO2削減と利用に向けた新たしい触媒技術を開発しています。

2. CH4​から有用化学物を創製する触媒システム開発
産業プロセス排出のCO2をCH4に資源化した後、そのCH4を原料とした有用化学物の製造技術の開発が望まれています。この研究では、C1化学産業の原料となる合成ガス(H2+COの混合ガスのこと)を、メタンのドライ改質反応(dry reforming of methane)で製造する触媒反応システムを開発しています。一般的に、ドライ改質反応は炭素が析出しやすい反応であり、この析出炭素が触媒被毒物となりますが、当研究室で開発した新型触媒(Ni系構造体触媒)は炭素析出に対する耐性が高く、そして大量のメタンをドライ改質処理できます。CO2のメタン化反応技術と併せることで、産業プロセス排出のCO2を有用化学物に変換する革新的な技術となります。

3. 構造体触媒 (Structured catalyst) による触媒システム
化学反応場と熱エネルギーの伝熱場を一体化した構造体触媒(Structured catalyst)は,通常の粒状触媒と比較して,エネルギーの交換や物質移動の制御性にすぐれ,高い原料処理能力と迅速な応答性を与えます。言わば,高次機能性を保有する新しい触媒材料です。この研究では,未来の新エネルギーとして期待される水素エネルギーの製造反応=水蒸気改質反応(Steam reforming,大きな吸熱反応)に適した構造体触媒を開発すべく,触媒材料の開発やそれを用いた反応システムの開発と性能評価を行なっています。原料は天然ガスやバイオマスです。この構造体触媒の開発は,低炭素社会の構築につながるエネルギーシフトを推進します。また,構造体触媒の低圧力損失性を生かし,亜臨界水中で非食料セルロースからアルコールへの化学変換に関する研究も行なっています。