faculty/ 1月 17, 2024/ staff

准教授 河野芳海 Yoshiumi Kohno
静岡大学 浜松キャンパス
(教員室)工学部4号館202号室
(実験室)工学部4号館202号室
Tel & Fax: 053-478-1623
E-mail: kohno.yoshiumi[at]shizuoka.ac.jp
研究室HP >静大DB >Researchmap >ORCiD

研究キーワード
複合化 / 層状構造 / 微細孔体 / 色材 / 天然色素 / 光触媒 / 薬剤徐放

研究内容
1)無機材料との複合化による天然色素の安定性向上
環境や安全性に対する社会的要求は,近年ますます高まっています。色鮮やかな【色材】として用いられる有機色素も,有害性の疑われる合成品から,植物や動物由来の【天然色素】にシフトする風潮です。しかし天然色素は合成色素よりも安定性に劣るため,現状では用途が限られます。安定性を改善して退色を抑えられれば,安全な着色剤として利用が拡大します。そこで私たちは【層状構造】を有する粘土や,メソポーラスシリカなどの【微細孔体】を無機ホストとして複合化し,天然色素の安定性を飛躍的に高める試みを行っています。
2)細孔体を用いた光触媒プロセスによる環境浄化
人間活動の拡大に伴い水質汚染が深刻な問題となっており,水の浄化と再利用の技術が求められています。最近,二酸化チタン【光触媒】を用いて,光照射下で水の浄化が検討されています。ただし,低濃度の汚染物質を含む水の大量処理に対応するためには,汚染源である有機分子を効率よく光触媒表面に集める必要があります。私たちは,微細孔を有するメソポーラスシリカと二酸化チタン微粒子を混合した材料による水の浄化処理を検討しています。微細孔による水中有機物の吸着効果を活用し,効果的な水の浄化を目指しています。
3)無機構造体と組み合わせた薬剤徐放材料の開発
薬剤は,そのまま環境下に置いたのでは放散や分解が進み,短時間で効果を失います。層状粘土や微細孔体との複合化により,薬剤分子を外部環境から保護して分解を抑制し,かつ放散を抑えて薬剤の効果を長期間持続できると期待されます。ただし粘土層間や細孔内空間は,そのままでは薬剤分子との親和性が悪く,十分な量の薬剤を複合化できません。そこで薬剤の性質に応じて,粘土層間や細孔内空間に種々の化学修飾を加えて環境を整え,多量の薬剤を固定化しました。また,薬剤成分の放散速度が複合化により抑制され【薬剤徐放】の性能が確認されました。