
助教 田代 啓悟 Keigo Tashiro
静岡大学 浜松キャンパス
(教員室)工学部3号館211号室
(実験室)工学部3号館113号室
Tel & Fax: 053-478-1150
E-mail: tashiro.keigo[at]shizuoka.ac.jp
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研究キーワード超分子化学 / 反応場構築 / 有機-無機ハイブリッド材料 / 固体電解質 / CO2吸着

研究内容
1)非共有結合相互作用を用いた分子の自己集合
高校までの化学では強い化学結合として教わっていると思います。ですが実際に自然界では、これらの結合よりもさらに弱い結合力しか持たない、いわゆる『分子間力』が物質の構造や機能性を支配していることも多くあります。特に分子が自発的に集まる現象(分子の自己集合)においては分子間力の寄与は顕著にみられます。そこで、有機分子間でおこる自己集合における集合挙動を調査することで、元の分子の構造と支配的になる分子間力の関係を調査し、分子間力に関する理解を深めています。
2)極性勾配反応場の構築と導入された色素分子によるCO2吸着
二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の原因となる厄介な物質として認識されていますが、実はさまざまな有用な化学物質(燃料など)の原料となりえます。ただ、CO2はかなり安定な物質であるため、CO2を燃料などに変換するためには触媒反応を利用する他ありません。この触媒反応を起こすためには、空気中や排ガスからCO2を選択的に回収し、高純度で触媒反応器に供給する必要があります。私は、界面活性剤と粘土鉱物を用いて極性勾配反応場(物質の電気的な分かれやすさが徐々に変化する空間)を構築し、そこにスピロピランと呼ばれる色素を導入することで、光でCO2を捕捉できる材料を開発しました。このスピロピランと呼ばれる色素は、紫外光/可視光が照射されると2つの化学構造を行き来する性質を持っています。この性質を利用して、光だけでをCO2を捕捉したり放出したりできる材料の開発を目指しています。
3)イオン伝導場構築による水電解水素製造に向けた固体電解質の開発
CO2を燃料などに変換するためには触媒反応では必ず水素を原料として共有機なければなりません。現在、水素製造法として注目されているのは水の電気分解(水電解)です。実現するためには ① 好きな時に電力を供給できる電力貯蔵装置(電池)および ② 水電解セルの2つのシステムが必要であり、それぞれ特有のイオンに対する固体電解質(前者:リチウムイオン、後者:水素イオン)が必要です。私はこれらの電解質の開発を反応場の構築の視点から達成することを目指しています。

