Nikkei FinTech Conference2019参加レポートその2 巨大銀行が明かすデジタル変革「次の一手」

写真撮影禁止でしたので、6月24日の決済高度化官民推進会議の資料を参考に載せます。
【パネルディスカッション】巨大銀行が明かすデジタル変革「次の一手」
(モデレータ日経FinTech田中淳氏)
三菱UFJ銀行 執行役員デジタル企画部長兼経営企画部部長 大澤正和氏
顧客チャネルの改革を行っている。個人向けではWEB利用の増加に伴い、簡単手続きアプリの開発、法人向けでは「MUFG BizLENDING」や財務・入出金の可視化機能の開発を行っている。また、AIにおける業務改革も行っており、手作業や紙媒体の廃止、RPAの導入も実施している。開発では、外部との提携により時間とコストを削減している。
キャッシュレス分野では「MUFG Wallet」、「トークンリクエスタ(TR)代行事業」、「coin(MUFGコイン)」、「新決済ネットワークGO-NET」を開発しており、オープンイノベーション分野では「MUFGデジタルアクセラレータ」を立ち上げ、スタートアップ企業のアイデアを取り込んでいる。


田中:デジタル企画部での一押しは何か。
大澤:アライアンス戦略を重要視している。アカマイやTISと組んでできるだけ軽い基盤で進めている。
田中:キャッシュレス施策が様々あるが、どう理解したら良いか。
大澤:顧客レイヤー(「MUFG Wallet」)、プラットフォーム(「coin」)、インフラ(「GO-NET」)とレイヤーが異なる。QR決済はcoinで対応する。できる限りインターオペラビリティを高める。
田中:銀行として訴求したい点は何か。
大澤:お金に関して不安を抱えている消費者も多いため、彼らにとって頼りになる相談相手になることである。長期的な視野で消費者のお金に関する管理を適切にアドバイスするミッションがあり、そこに、デジタル技術を活用していく。

ゆうちょ銀行 経営企画部担当部長 表邦彦氏
2019年5月に「新しいべんり」としてスマホを活用した決済手段「ゆうちょPay」を導入した。安全性と利便性を兼ね備えた決済手段で、キャッシュレスに不安を抱えている人もターゲットとしている。ゆうちょ銀行にとっても新たな収益源であり、企業と提携することで地域経済の活性化・生産性向上に結び付けることが狙いである。ただ、ゆうちょPayは、決済に特化したサービスであるが、決済は消費者の最終ニーズではないので、シームレスに繋がるようなサービスも必要。新たな技術を導入したり、フィンテック企業との提携をしたりする必要がある。ゆうちょPayの目指す姿としては、2021年度利用者数を1,000万人にすることを目的としており、他銀行との連携も視野に入れている。

田中:ゆうちょPayの出足の実績はどうか。
表:現時点(2019年6月)で利用者数は20万人弱で、店舗数は1万店舗を超えたところで両面での推進を図っていく。
田中:ゆうちょPayの決定過程は。GMOペイメントと提携したのはどうしてか。
表:クレジットカード等も検討したが、スマートフォン決済での開発スピードを重視しGMOの仕組みを採用した。
田中:キャッシュレスは順調に進むか。消費税還元施策やオリンピックはトリガーになるか。
表:消費税還元施策の期限後の工夫が必要。利便性を逆手に取った犯罪も考えられるので、セキュリティ面での対策も必要である。金融機関が連携した業界全体での取組みの必要がある。
大澤:キャッシュレスそのものが目的にはならない。自分たちのディスラプトも必要。
田中:次の一手は。
表:消費者の最終ニーズにシームレスに繋がる金融ニーズ、FinTech企業との連携が重要。
大澤:顧客接点には限界があるので、アライアンスが重要。勝負は人生の重要な局面での相談相手になれるのか、年齢が上がった時に頼れるかが重要。