2023年3月25日(土)、日本技術士会情報工学部会(情報処理学会CPDコラボ)のワークショップに登壇しました。
90分間金融DXについて講義し、その後、150分間でグループ討議で、金融機関/金融システムに対するユーザー目線での改革案を発表していただきました。
金融商品の分かりにくさを改善する仕組みや、認知症を考慮した金融取引のあり方等、技術士の皆さんならではの議論や提案が行われ、大変有意義なワークショップとなりました。https://www.engineer.or.jp/c_dpt/infoeng/topics/007/007646.html
2023年3月卒業生の送別会
2023年3月11日(土)、卒業する4年生4人の送別会を浜松市内のレストランで行いました(写真1枚目)。研究室の3,4年生が対面で揃うのは最初で最後の機会でしたが、美味しい料理で楽しいひと時をすごすことができました。4年生の皆さん、卒業後の活躍を祈念しています。
その後、3月23日(木)学位伝達式で最後のお別れの記念写真を撮りました(写真2枚目)。
第4回金融DXフォーラムで基調講演しWebメディアに掲載
2023年1月18日の第4回金融DXフォーラムで基調講演を行いました。またインタビュー記事が掲載されました。2022年6月発刊の「金融DX、銀行は生き残れるのか」(光文社新書)著者として採り上げられたものです。
1.2023年1月18日「金融DX、銀行は生き残れるのか」第4回金融DXフォーラム(日本ビジネスプレス主催)(基調講演 2023年4月5日に動画と講演全文抄録が記事として公開)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73655
2.2023年1月31日「『金融DX、銀行は生き残れるのか』の著者が語る金融DX成功の鍵」(日本ビジネスプレスのWebメディア)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73507
4年生卒業研究中間発表と3年生の学会発表
1.2022年11月10日(木)9時~10時に、4年生4名の卒業研究中間発表を行い、それぞれの副査の先生から質疑やアドバイスをいただきました(オンライン8分程度発表、6分程度質疑)。
テーマは以下です。
「外国為替のバイナリーオプション取引でのプロスペクト理論の適用」
「経費精算システムのデジタル化に置ける必要要素の調査・考察」
「PayPayの手数料有料化による加盟店の継続意思の調査と考察」
「ロボアドバイザーを用いた資産運用普及のための戦略の考察」
2.2022年11月12日(土)10時~11時15分に、4年生1名と3年生4名が経営情報学会でポスター発表(オンライン参加)を行い、司会の先生や参加の先生から質疑に加え、多くの励ましとアドバイスをいただきました。(5分発表、10分質疑)(写真)。
テーマは以下です。
「外国為替のバイナリーオプション取引でのプロスペクト理論の適用」(4年生)
「地域金融機関の地域貢献形態の比較研究」
「リスクマネジメント戦略の6観点からみた障害対策の重要観点の考察」
「ロボアドバイザー投資を提供しているFinTech企業の経営戦略」
「路線バス事業者におけるQRコード決済導入についての現状と考察」
どちらのイベントも、学生の皆さんのこれまでの研究の成果をしっかり発表することができ、更なる研究の進展へのモチベーションを高めることができました。質疑やアドバイスをいただいた先生方に感謝申し上げます。
研究室学生の集合写真
2022年11月9日(水)に4年生の卒業写真用に研究室の集合写真を撮影しました(前列が4年生、後列が遠藤と3年生)。通常のゼミはオンラインで行っており、7月の歓迎会から久しぶりにリアルでほぼ全員が集合しました。4年生は翌日に卒業研究中間発表があり、3年生は12日(土)に経営情報学会2022年全国研究発表大会でのポスター発表を行います。
日本情報経営学会でデジタルバンクに関して発表
2022年11月6日(日)に日本情報経営学会第84回全国大会(オンライン開催)で、「デジタルバンクの経営戦略及びIT戦略の考察」というテーマ名で発表しました。2021年5月に開業したみんなの銀行と2022年1月開業のUI銀行を比較して論じたものです。地方銀行系でスマホに特化したユーザーインターフェースという共通点がある一方、対象顧客層が異なり、システムの構築も大きく異なっていることを説明し、収益化が課題であることを示しました。
「銀行は生き残れるのか – 識者と語るデジタルバンクの可能性」
NTTデータさんのオウンドメディアOctoKnotに対談記事「銀行は生き残れるのか – 識者と語るデジタルバンクの可能性」が掲載されました。近著「金融DX、銀行は生き残れるのか」の第6章をさらに発展させ、デジタルバンク2社とインターネット専業銀行の比較やメタバース等について、有意義なディスカッションができました(2022年8月12日実施、9月30日掲載)。
https://8knot.nttdata.com/trend/4143425
3年生の歓迎会を感染対策を行って実施
7月30日に、研究室に配属された3年生の歓迎会を行いました。感染対策は以下の通りできる限りのことをしました。大きめの部屋で、左右の席間は1メートル空け、前後はパーテーションを置き、食事及び写真撮影以外はマスク着用を徹底しました。食べる時と、話をする時のメリハリを付けやすいように、蓋つきのうな重の昼食です。飲み物もワンオーダーのみとしました。通常の集まりはZoomで実施していますので、対面で親睦を図ることができる機会となりました。各自、「金融DX、銀行は生き残れるのか」を手に持って記念写真です。
「金融DX、銀行は生き残れるのか」(光文社新書)を上梓しました
「金融DX、銀行は生き残れるのか」(光文社新書)を2022年6月14日に上梓しました。
銀行がこの社会にこの時代に必要なのか?銀行ITの現状を分析し、日本の金融サービスの未来を考える書です。各章のエッセンスを紹介します。
「第1章メガバンクのジレンマ」では、3メガバンク(MUFG、SMFG、みずほFG)の取り組みを採り上げます。その一方で巨大な勘定系システムを保持しなければならず、そのための制約があることも明らかにしていきます。みずほ銀行の障害の原因も詳説します。
「第2章地方銀行の合従連衡の先は?」では、地方銀行の取り組みを採り上げます。勘定系システムのクラウド化に取り組む北國銀行の改革や、SBIホールディングスの第4のメガバンク構想、システム共同化の枠組みの変化など、様々な合従連衡の形について考察していきます。
「第3章地域通貨の挑戦」では、飛騨信用組合のさるぼぼコインや木更津市のアクアコインの事例を中心に、ブームとなっている地域通貨による地域活性化の取り組みについて解説します。営業エリアが限定される信用組合ならではの取り組みの有効性と課題を考察していきます。
「第4章FinTechスタートアップの攻防-マネーフォワードとfreee」では、FinTechスタートアップであり、共に上場を果たした、企業会計分野でライバルでもあるマネーフォワードとfreeeのサービスと訴訟まで行った攻防について、様々な角度から紹介し考察していきます。
「第5章 優勝劣敗-投資フィンテック企業たち」では、第4章とは異なり、成功した企業とそうでない企業の差が大きくついた、個人向け投資分野でのFinTechスタートアップ企業の差を分析して考察します。具体的にはロボアドバイザーやソーシャルレンディングの企業に関して採り上げます。
「第6章デジタルバンク、ネット銀行との戦い 」では、ふくおかフィナンシャルグループの「みんなの銀行」や、東京きらぼしフィナンシャルグループの「UI銀行」と、従来のインターネット専業銀行の違いについて、経営戦略、ビジネスモデル、ターゲット顧客の観点から分析、考察します。
「第7章 キャッシュレスの先にあるもの 」では、クレジットカード、デビットカード、QRコード決済等の現状と、今後の発展について検討し、GAFAに代表される世界的プラットフォーマー企業の日本への進出があるのかを考察します。
「第8章 土管化か、BaaS提供での逆転か 」では、銀行のビジネスモデルがどう変わっていくのかを検討します。従来の収益源であった金融業務に、FinTech企業や異業種企業が進出することで、いわゆる「土管化」が起こってしまうのか、むしろ汎用的なシステム機能を提供することで、生き残っていくことができるのかについて考察していきます。
https://www.amazon.co.jp/%E9%87%91%E8%9E%8DDX%E3%80%81%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AF%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%AE%8B%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E9%81%A0%E8%97%A4-%E6%AD%A3%E4%B9%8B/dp/4334046126
静岡大学・中日新聞連携講座2021での講演
2021年12月21日(火)に遠藤が、静岡大学・中日新聞連携講座2021「いのちとくらしを守るイノベーション」の第4回でオンライン講演しました。要旨は以下の通りです。
1.金融情報システム
金融情報システムは、銀行系と市場系に分かれ、さらに個別金融機関のシステムと金融機関の相互ネットワークのシステムに分類できるが、いずれも複雑で大規模なシステムである。金融情報システムの特異性は、第一に決済システムであること、第二に情報セキュリティの高さを求められること、第三にレガシーシステムの存在、第四に規制産業だということである。金融情報システムでは、IT要因や金融業務要因という外部環境の変化に対して、組織や経営者という内部要因が適合していないという問題構造がある。
2.リスクマネジメント戦略の6観点
そこで、経営者向けにリスクマネジメント戦略の6観点を提言してきた。それは、1)経営トップのコミットメントと支援、2)組織体制とITガバナンス、3)ITリスクマネジメント、4)拡張性一貫性確保、5)要件定義最適化、6)品質重視の仕組構築である。
3.金融情報システムの障害事例4件
金融情報システムの障害事例として4事例を採り上げて分析した。2011年の銀行振込大幅遅延では、未然防止の観点だけでなく障害発生時の対応にも難があった。2012年の一部銘柄取引停止では、二重化の設計を過信して障害発生時の対応が雑になった。2020年の終日株式売買停止では、二重化設計の確認が不十分で、関係者との発生を想定した調整もできていなかった。2021年2月の銀行の障害では、定期性預金の障害が、システムの防衛機能によって全体に波及し、ATMでの通帳・カードの取込みに繋がった。同じ銀行でその後もハード障害、プログラムのミス等を起因に7件の障害が発生した。他の銀行やQRコード決済でも障害は発生しており、各社でシステム障害管理体制の見直しが求められる。
4.システム障害管理体制の実効性向上の留意点
障害発生を皆無にすることは不可能であることを前提として、システム障害管理体制を構築する必要がある。未然防止の観点だけでなく障害発生時の対応準備の観点も重要で、両面に経営の関与が必要になる。
5.障害にどう向き合うか
事業者は、利用者視点で影響が少ない障害は、事後対処でカバーすると割り切り、それを利用者に伝えることも必要ではないか。利用者も障害が発生しないシステムはないことを理解し、代替手段を用意することや、連絡先を最新化しておくことが望まれる。今後DX進展により、元々別々に作られたシステムが連携して動くことで、より便利なサービスが提供される反面、想定しない障害も一定の割合で発生しうることを理解する必要がある。(文責:遠藤正之)