【第172回】ジェンダー平等への道 未し

      【第172回】ジェンダー平等への道 未し はコメントを受け付けていません

投稿者: 林 のぶ
(昭和32年教育学部中等教育科4年課程卒/教育学部同窓会会誌編集委員長)


「明日、顔写真を持って県庁に出向きなさい」と卒業式の日。折しも卒業を祝う会の余興に職員全員での合奏中、袴姿のままエレキギターのベースを弾く私にかかってきた電話でした。

静岡市の市街地から28km、山間部にある小学校の新米教頭として1年が終わろうとしている日のことです。

教育委員会から(県の)知事部局出向の辞令を手に出向いた部局は「婦人青少年課」。取り組んだ仕事は「婦人問題の解消」。当時婦人問題は-女性が女性であるが故に受ける差別-と解されていました。

この課題を解決するため、静岡県は「婦人のための静岡県計画」を策定し、その推進に当たる初年度(1986年)にありました。「婦人問題の解消」の標記は、その後「女性の社会参加」「男女共同参画型社会」「男女共同参画社会」と変遷し、現在に至ります。また、その推進のための行動計画、第3次静岡県男女共同参画基本計画(令和3年度から令和7年度)となっています。

政策の命題の一つに、全県下の女性の人材の発掘とリーダーの養成がありました。下田市から水窪町まで、全県下に足を運び、様々な分野で活躍している沢山の女性との出会いは、教職で得た生徒との交流と異なる次元で「人財産」となりました。各地で出会った方々は、その後も着実に成果を挙げられていることは、言うまでもありません。

私事になりますが、小中学校の頃のわたしは「こんにゃくはさみ」(母がいくじなしの私につけたあだ名)と言われていました。その後、新制中学・新制高校・新制大学と時代を画するときに生きて、新しい命題に否応なく挑戦する立場となり、無我夢中で歩き続けなければならなかった結果が、今ある自分であるという思いを深くしております。

3月8日「国際女性デー」の朝刊(静岡新聞:2023.3.8朝刊)静岡県のジェンダーギャップ指数は、政治33位、教育36位、経済47位でした。ジェンダー平等への道は未し(いまだし)の現実がそこにありました。