【第177回】白井鐵造と春野

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投稿者: 児玉 一記(昭和49年3月 教育学部小学校教員養成課程卒)


♬~すみれの花咲く頃 はじめて君を知りぬ♫~

この歌は、宝塚歌劇団を象徴する楽曲です。そして、その作詞者は、白井鐵造(1900~1983年)という人物です。

白井鐵造は、静岡県周智郡犬居村(現:浜松市春野町)で生まれ、宝塚歌劇団の演出家となり、2年間のパリでの修行等を通して、日本初のレビュー「モン・パリ」の振り付けを担当、「レビューの王様」と言われるようになりました。

生誕の地が縁で、宝塚歌劇団と春野町との交流が始まり、毎年春には、すみれの花を宝塚歌劇団へ届けています。その使者が、地元の中学生だということはあまり知られていません。犬居地区の春野南中学校の3年生が修学旅行を兼ね、宝塚歌劇団を訪問、大劇場でレビューを参観、その後ステージに上がり、時のスターたちにすみれの花を贈り交流を深めるのです。

春野町も過疎化の波には勝てず、2005年町内の3中学校が統合し「春野中学校」が誕生しました。私は初代校長として、経営構想をたてるなかでこの宝塚への修学旅行はどんなことがあっても継続していきたいと考え各機関にお願いしました。山村の地から世界に知れわたる偉人が誕生し、それが「宝塚歌劇団」という具体で残っていることを生徒が自分の目で確かめ、自分の夢につなげてほしいと願ったからです。

願いは叶い、平成17年4月、校長として生徒を引率し宝塚を訪れました。

華やかなレビューを見た生徒の顔は紅潮し、ステージですみれの花を贈る生徒、代表であいさつする生徒をはじめ、全員の感動した表情が記憶に残っています。本物を見ることが感動を呼び、一生忘れられない思い出がつくられました。

コロナの感染により、この交流はここ3年途切れましたが、是非、再開してほしいと願っています。

現在、春野町の春野文化センターの敷地内に「白井鐵造記念館」が設立され、館内には白井鐵造が使用したピアノや楽譜、宝塚歌劇団関係の資料等が展示されています。

※「白井鐵造記念館」
【住所】静岡県浜松市天竜区春野町宮川1768
【開館時間】午前9時から午後5時
【休館日】毎週月曜日