【第183回】眩しい日差しとスイカ

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投稿者: 杉本 寿久 (昭和54年 理学部化学科卒)


昨年8月に、藤田雅士君、塩尻信義君(現副学長)、清水秀昭君たちの呼びかけで同期入学乙組(化学科+生物学科)の同窓会が開催されました。45年ぶりに会わせた顔には、様々な職の第一線で活躍してきた自負と安堵感が溢れていました。再会した瞬間に心は大学時代にタイムスリップし、当時の逸話や武勇伝、今だから聞ける秘密の話に花が咲き、アッという間に時が過ぎ、3年後の再会を約束して閉会となりました。

私自身は、化学の教員として県立高校に勤務し、今は島田市の私立高校に勤めています。理学部との縁は深く、化学科の卒業生が3人、数学科の卒業生が3人勤務しており、理学部同窓会長の鈴木富喜先生にも指導をお願いしています。生徒指導に明け暮れた学校から、近年は難関大学にも進学する学校に成長し、静岡大学へも一人でも多く進学するよう頑張っているところです。

今の高校生を見ていると、いじめ・不登校、さらにはスマホ(SNS)の弊害など様々な課題が山積する中で、精神的に不安定な生徒が増えているように感じます。また、好きなことだけやりたい、集団での行動はしたくないといった志向が強くなり、学校での対応も多様に変化せざるを得なくなってきています。社会の成熟、時代の流れでしょうか、難しい時代を迎えていると実感しています。

そう考えると、このタイパ重視の時代には、基礎実験を繰り返したり、基礎的な研究に時間を費やすことができなくなっていくのかもしれません。その代わりに、新しい物質の開発や理論研究を優秀な生成AIがやってくれるのでしょうか。そんな思いに駆られながら夏を迎えると、ハチ毒研究のために、昆虫網をもって真っ黒になりながらベッコウバチを追いかけていた時の眩しい日差しと山で食べたスイカの瑞々しさが懐かしく蘇ってきます。