当研究室で立体構造を解明した、O型糖鎖のコアのα-GalNAcを刈り取る酵素GH31 α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(Nag31)に新しいEC番号(酵素番号)が付与されました。
Reaction(酵素反応):a [protein]-N-acetyl-α-D-galactosalaminyl-(L-serine/L-threonine) + H2O = a [protein]-(L-serine/L-threonine) + N-acetyl-D-galactosamine
Accepted name(常用名): exo-acting protein-α-N-acetylgalactosaminidase
Systematic name(系統名): [protein]-N-acetyl-α-D-galactosalaminyl-(L-serine/L-threonine) N-acetylgalactosaminohydrolase
海外のグループによって腸内細菌のメタゲノムライブラリーから見出された酵素であります(Rahfeld et al., 2019)。
EC 3.2.1.49 は血液型A型抗原に作用するα-N-アセチルガラクトサミニダーゼに割り当てられた番号ですが、Nag31は血液型A型抗原に対して加水分解活性を示しません。
私たちも独自に腸内細菌 Enterococcus faecalis 由来の酵素Nag31をゲノムから見出し、その立体構造と反応メカニズムを明らかにしています(Miyazaki and Park, 2020; Miyazaki et al., 2022)。
また、Nag31は基本的にバクテリアが有していますが、鱗翅(チョウ)目昆虫も酵素遺伝子を持っており、祖先昆虫が共生細菌(Enterococcus属)からの水平伝播によって獲得したと言われています。私たちはカイコ由来酵素についても遺伝子発現と活性の解析をしています(Ikegaya et al., 2021)。
参考文献
Rahfeld et al., J. Biol. Chem. 294, 16400–16415 (2019)
Miyazaki and Park, FEBS Lett. 594, 2282–2293 (2020) →論文公開当時の記事
Miyazaki et al., Biochimie 195, 90–99 (2022) →論文公開当時の記事
Ikegaya et al., Insect Mol. Biol. 30, 367–378 (2021) →論文公開当時の記事