研究内容

 生物工学研究室は朴龍洙 教授、加藤竜也 准教授と連携して運営しています。このページでは宮崎が独自に行っている研究を中心に紹介します。生物工学研究室全体の研究については、研究室公式HPをご覧ください。
 また、下記以外の研究課題や学内外との共同研究も進行中ですので、詳しくは宮崎までお問い合わせください。

① 糖質関連酵素の構造機能と応用

 糖質は我々にとって身近な物質であり、エネルギー貯蔵物質(例:デンプン、ショ糖)、生体の構成成分(例:セルロース、キチン)、情報伝達因子(例:糖タンパク質糖鎖)など、その生理機能は多岐にわたります。これらの生合成や生分解は酵素によって行われており、その酵素の種類も数多く存在します。特に微生物は糖質に作用すると予想される機能未知な酵素をたくさん持っており、この中から新規かつ有用な酵素を見出すことができれば、既存の糖質の加工から有用な糖質の創出が可能となり、食品や医療への応用が考えられます。
 近年、次世代シーケンサーなどのゲノム解析技術の飛躍的な向上により、あらゆる生物の膨大な遺伝子情報が蓄積されています。一方で、その遺伝子の機能を調べる方法としては従来のノックアウト、サイレンシングなどの遺伝子工学的手法や遺伝子産物であるタンパク質の生化学的な解析手法に頼っており、まだまだ機能が明らかにされていないタンパク質が数多く存在します。我々の研究グループでは、特に生体内での化学反応を触媒する酵素に着目し、機能未知遺伝子群から有用な酵素を見出し、その応用を目指しています。

関連論文

Miyazaki et al., FEBS J., 280, 4560–4571 (2013)
Miyazaki et al., J. Struct. Biol., 190, 21–30 (2015)
Miyazaki et al., Biochem. J., 469, 145–158 (2015)
Miyazaki et al., J. Struct. Biol., 196, 479–486 (2016)
Miyazaki and Park, J. Biol. Chem., 295, 8784–8797 (2020)
Miyazaki and Park, FEBS Lett., 594, 2282–2293 (2020)

 

②カイコの糖鎖工学と関連酵素の機能の解明(朴教授、加藤准教授との連携)

 昆虫やその培養細胞は、我々哺乳動物に近いタンパク質翻訳後修飾(糖鎖修飾、リン酸化など)機能を有しており、翻訳後修飾能に乏しい大腸菌を宿主とした組換え発現が難しいタンパク質でも、機能を有する組換えタンパク質を得ることが可能です。我々ヒトのタンパク質の半数以上は糖タンパク質であると考えられており、その糖鎖が正常な機能の発現に重要であることが知られており、医療用に開発されているバイオ医薬品の多くは糖タンパク質です。しかしながら、昆虫とヒトではその糖鎖構造が異なることが大きな問題となっています。我々の研究グループでは、昆虫細胞やカイコで発現させた糖タンパク質の糖鎖構造を改変する技術の開発を行っています。また、ヒトの糖鎖生合成に関与する酵素と類似するタンパク質の遺伝子がカイコにも複数見出されているため、その機能解明も目指しています。

関連論文

Kato et al., Sci. Rep., 7, 1409 (2017)
Miyazaki et al., J. Biosci. Bioeng., 126, 15–22 (2018)
Miyazaki et al., J. Biosci. Bioeng., 127, 273–280 (2019)
Miyazaki et al., Insect Biochem. Mol. Biol., 115, 103254 (2019)
Nakamura et al., Insect Biochem. Mol. Biol., 124, 103427 (2020)