東京農工大学 殿塚隆史教授との共同研究の論文が、国際学術誌 Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics にアクセプトされ、オンラインで公開されました。
海洋好熱性細菌 Rhodothermus marinus が有するα-アミラーゼ(RmGH13_47A)の性質と立体構造に関する研究です。澱粉を分解する酵素であるα-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)やイソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)は主に糖質加水分解酵素ファミリー13(GH13)に属していますが、このファミリーは様々な生物由来の機能未知タンパク質が含まれている巨大なタンパク質ファミリーです。機能既知酵素とアミノ酸配列相同性が低いタンパク質の中から本菌のタンパク質を選定し、組換えタンパク質の性質を調べたところ、糖転移活性が高いα-アミラーゼであることが分かりました。また、X線結晶構造解析により、本酵素には澱粉に存在するα-1,6分岐を認識する部位が存在し、分岐を好むα-アミラーゼであることが示唆されました。
ごく最近、腸内細菌 Bacteroides ovatus 由来酵素(BoGH13ASus)より、分岐を好むα-アミラーゼの構造と機能に関する報告があり、GH13サブファミリー47(GH13_47)が新設されました。BoGH13ASusと比較的近縁であることから、RmGH13_47Aも現在GH13_47に属しています。ただし、基質を認識する部位のアミノ酸残基が一部異なり、付属するドメイン構成も異なることから、GH13_47の中でも多様性があることが分かりました。
宮崎が農工大在籍時に選定した研究対象で、研究を続けてくださった殿塚先生に感謝いたします。
題名:Structural basis for the recognition of α-1,6-branched α-glucan by GH13_47 α-amylase from Rhodothermus marinus
著者名:Yuki Miyasaka, Kohei Yokoyama, Takuma Kozono, Yoshikazu Kitano, Takatsugu Miyazaki, Masayoshi Sakaguchi, Atsushi Nishikawa, Takashi Tonozuka*