論文アクセプト・公開:J. Biol. Chem.

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博士課程1年の池谷さんが執筆した、乳酸球菌Lactococcus lactis 由来 糖質加水分解酵素ファミリー31(GH31)α-1,3-グルコシダーゼの機能解析の論文が Journal of Biological Chemistry にアクセプトされ、オンライン公開されました!

GH31ファミリーには、小腸のマルターゼや微生物のα-グルコシダーゼなど、澱粉やマルトオリゴ糖の α-1,4-グルコシド結合を加水分解する酵素が多く分類されています。しかし、他の結合(α-1,2, α-1,3, α-1,6-グルコシド結合)にも活性を示す酵素がほとんどでありました。本研究では微生物の膨大なゲノム情報から新規酵素を探索し、α-1,3-グルコシド結合からなるニゲロオリゴ糖(二糖はニゲロース)を最もよく加水分解する珍しいα-1,3-グルコシダーゼを発見しました。しかも、既報のα-1,3-グルコシダーゼと比べて、α-1,4結合などの他の結合に対する活性が低い基質特異性が厳密なものでした。
また、サナギタケ(冬虫夏草の一種)のホモログも同様にα-1,3-グルコシド結合特異性が高いことも明らかにしています。
その基質特異性の厳密性の要因を明らかにするため、L. lactis由来酵素のX線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡単粒子解析を行いました。本酵素は六量体を形成しており、それが基質特異性に重要であることが示唆されました。

クライオ電子顕微鏡での解析は高エネルギー加速器研究機構クライオ電顕施設の先生方との共同研究となっています。

題名:Structural basis of the strict specificity of a bacterial GH31 α-1,3-glucosidase for nigerooligosaccharides

著者名:Marina Ikegaya, Toshio Moriya, Naruhiko Adachi, Masato Kawasaki, Enoch Y. Park, Takatsugu Miyazaki*

URL:https://doi.org/10.1016/j.jbc.2022.101827
Open Accessなので、誰でも無料で読めます!

池谷さんコメント
「論文を作成するにあたって、共著者の方々には何度もチェックをして頂き、重要な示唆を沢山頂きました。
論文が受理された嬉しさと共に、論文に関わって下さった方々への感謝の気持ちでいっぱいです。
かなりボリュームのある論文となり大変でしたが、その分自分も成長できたと思います。
この経験を糧に今後も研究に励みたいです。」