論文アクセプト・公開:Glycobiology

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N結合型糖鎖の成熟に関わる糖転移酵素の一つであるGnT-IVa (MGAT4) のC末端ドメインの構造と機能に関する論文が、糖鎖生物学の専門誌Glycobiologyにアクセプトされ、先日オンラインで公開されました!

GnT-IVaは、糖尿病との関連性が報告されているゴルジ体局在の糖転移酵素であり、CAZyデータベースでは糖転移酵素ファミリー54(GT54)に分類されています。GT54に分類されている酵素はこれまで一つも立体構造が明らかにされていませんでした。
私たちの研究室では、ヒトGnT-IVaのC末端側の領域が、酵素活性に関わる触媒ドメインとは独立したドメインであることを見出し、GnT-IVaの基質や生成物の糖鎖の末端構造であるN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を認識・結合するドメインであることを明らかにしました。また、昆虫であるカイコの機能未知オルソログも合わせて結晶構造を明らかにし、カイコオルソログではGlcNAcが結合した構造も明らかにすることができました。
このドメインは糖鎖の末端構造であるGlcNAcに結合し、GnT-IVaの糖転移活性を補助する役割を果たしていると考えられます。
元々はカイコの糖転移酵素に関する研究が発端で、卒業生である森君の卒論と修論が土台となり、現M1の岡君の卒論研究で本論文の主軸のデータが得られました。本論文は森君と岡君が共同筆頭著者になっています。

この研究がきっかけとなり、新しい糖結合モジュールファミリー(CBM94)がCAZyデータベースにおいて設立される予定です。

題名:Crystal structure and sugar-binding ability of the C-terminal domain of N-acetylglucosaminyltransferase IV establish a new carbohydrate-binding module family

著者名:Nozomi Oka†, Sota Mori†, Marina Ikegaya, Enoch Y. Park, Takatsugu Miyazaki*
† equally contributed

URL:https://doi.org/10.1093/glycob/cwac058