FE-SEM-EDXは特性X線のエネルギーにより試料に含まれる元素の種類や量をを測定することのできる装置です。特性X線を発生させるには、それぞれの元素の軌道電子の励起に必要なエネルギーよりも高い加速電圧が必要です。
つまり加速電圧により、それぞれの元素から発生する特性X線の強度(強度比)が異なります。
ここでは単斜輝石(Cpx)を用いて、加速電圧とX線スペクトルの比較を行っていきます。
分析条件
使用機器 FE-SEM (JEOL JSM-IT700HR) + EDX (Oxford instruments Ultim Max 170)
加速電圧 5-20 kV
照射電流 0.22-4.7nA (Std. PC 75で固定)
分析試料 ブルーシストの脈中のCpx (化学組成:Na0.1Ca0.4Mg0.7Fe0.6Al0.3Si1.9O6)
各加速電圧のスペクトル(5-20kV、プロセスタイム4(標準))
こちらを参考にしてください。
(0-10keVの範囲のスペクトルで、主要元素のK線が見える範囲のものです)
5-20kVにおいて、
・ Na, Mg, Al, SiのK線は加速電圧にかかわる図十分に見えていると思います
・ CaのKa線(約3.7keV)は5kVでは、バックグラウンドに対して弱くなっているように感じます
・ FeのKa線は(約6.4keV)は10kV、8kVでは弱く、5kVでは観察できません
※ (加速電圧/励起エネルギー)が2以上とするのがよいとされているが、その通りの結果となった
5kV以下の低加速電圧ではCaとFeなどのK線を観察するのは困難です。
なので次にL線に着目していきたいと思います。
低加速電圧のスペクトル(1kV, 3kV)
こちらを参考にしてください。
・ CのK線(約0.28keV)のピークは十分に強い(1kVは他のピークが弱くなっている分相対的に強くなる)
・ OのK線(約0.53keV)は3kVの時は強いが、1kVの時は弱い
・ FeのL線は(約0.71keV)は3kVの時は観察できいるが、1kVの時は観察が困難
・ CaのL線は(約0.3keV?)はほとんど観察できなかった(CaのL線は弱い?それともCのピークと被るから?)
Cpx低加速電圧条件の場合、FeのL線は検出できそうだが、CaのL線は難しそう