オンファス輝石の秩序相について

 

オンファス輝石の結晶構造

オンファス輝石は、輝石の一種であり、化学組成はおよそ NaCa AlMg Si2 O6 です。
オンファス輝石の結晶構造のM2席にはNa-Caが、M1席にはAl-Mgが入ります。
(M1席、M2席については下図参照)

オンファス輝石には、空間群C2/cの無秩序相と空間群P2/nの秩序相の2種類の相が存在することが知られています。
無秩序相とはM2席とM1席のNa-CaとAl-Mgが無秩序に配列する相で、秩序相は秩序だって配列する相です。

一般的には上記の2相が知れれていますが、今回観察試料からはその他にP2/c、C2、P2の空間群を持つ相が見つかっています。
これらの相はいずれも秩序相なのですが、秩序化する際の配列の仕方により空間群が異なります。
(下図参照)


図1 オンファス輝石の結晶構造

 

 

5つの相のEBSDパターンの違い

図1の4つの結晶構造とP2の結晶構造について、EBSDのバンドの指数と強度について記したのが図2です。
これらを比較すると、5相のEBSPの差はわずかであり、5相を見分けるのが困難であることが予想されます。


図2 5種類のオンファサイト相の回折バンドの指数と強度の関係
Clark and Papike (1968)がX線回折により解析したP2のオンファス輝石をもとにそれぞれの相の原子位置を求めて計算した。P2/nの空間群を選択することができなかったため、これについてはP2/nの結晶軸を空間群P2/cになるように置き換えて計算した。