EDSを用いてLarge Area Mapping する方法

通常観察や通常のマッピングができる状態になっていること前提で記述します。

1 LAマッピングの条件設定(左のPC)

1-1 加速電圧と照射電流を決定する
・ 通常は強めが良い。EDSのデッドタイムが20~50ぐらいの強さ(注意 可視光が入っていない状態のデッドタイム。可視光が入っているとデッドタイムが非常に大きくなる)
・ 試料へのダメージや電子線照射由来のドリフトを気にする場合は弱めで長時間のマッピングのほうが良い

1-2 WD11mm付近でピント(物理的な試料の高さ)が合うように、高さコントローラーを回転させて高さを調節する
・ トラックボールの円周をぐるぐる回すと、zが動く
・ WD11mmちょうどである必要はないが、WD11.0~11.4mmの範囲でピントが合うとよい

1-3 右下の方、「SRT」を選択し、スキャンローテーションを180°にする
・ SRTが選択されている状態で十字の上、右、下、左を押すと、それぞれスキャンローテーション値を0、90、180、270°に設定できる
・ SRTが選択されている状態で十字の真ん中を押すとスキャンローテーションのon, offの切り替えができる
・ 最終的に、右下の方の [x, y , z, R, T SRT] のSRT横の数字が180であればOK

 

2 LAマッピングする範囲の設定(右のPC)

2-1 左上タグボタンを「EDX」→「マップ」→「画像のスキャン」を選択

2-2 「設定」を押し、一番下「AutoLock」をオフにする
・ AutoLockはドリフト補正であるが、AutoLockが入っているとLAマッピングができない(LAマッピング中はドリフト補正することができない)
・ AutoLockのオンオフの切り替えができない場合は、「設定」の左の「新しい分析領域」を押し、違う分析領域にしてから2-2の捜査をすると切り替えができる(はず)
・ 「設定」の「デュアルタイム」を大きくすると、LAマッピング中の電子画像の画質が良くなる。ただしそうするとLAマッピングにかかる時間が増えるため、5us程度にするのが良い

2-3 「予約」→「新しい領域」を押し、LAマッピングする範囲を設定する
2-3-1 「四辺形」または「矩形」を選択して「次へ」を押す
・ 四辺形は4点で、矩形は2点でLAマッピングする範囲を設定します
・ ステージ(x, y)を動かしてもWDが大きく変化しないような試料の場合は矩形で十分です
・ 四辺形は、LAマッピングする範囲を長方形ではない四辺形にすることもできます
・ ステージ(x, y)を動かした時に、WDが大きく変化する試料の場合は四辺形のほうが良いです
※ 矩形について・・・EDX(傾き0°)の場合は矩形でもよいが、70°傾いたEBSDのマッピングの場合ステージ(x, y)に対してWDが大きく変化することが多いため矩形は不向き

2-3-2 LAマッピングする範囲を設定
「矩形」の場合
① 左のFE-SEM制御PCで、LAマッピングする範囲(長方形)の左上の頂点となる位置まで移動し、フォーカスを合わせる
② 右PC予約ウィンドウ右下の方の「承諾」を押す
※ これ以降、フォーカス(電気的焦点)を動かしてはいけない
③ 左のFE-SEM制御PCで、LAマッピングする範囲(長方形)の右下の頂点となる位置まで移動し、ステージの Z を高さコントローラーを動かしてピントを合わせる
・ トラックボールの円周をぐるぐる回すと、zが動く
④ 右PC予約ウィンドウ右下の方の「承諾」を押す
⑤ 下の「次へ」を押す

「四辺形」の場合
① 左のFE-SEM制御PCで、LAマッピングする範囲の四辺形の左上の頂点となる位置まで移動し、フォーカスを合わせる
② 右PC予約ウィンドウ右下の方の「承諾」を押す
※ これ以降、フォーカスを動かしてはいけない
③ 左のFE-SEM制御PCで、LAマッピングする範囲の四辺形の他の頂点の位置まで移動し、ステージの Z を動かしてピントを合わせる
・ トラックボールの円周をぐるぐる回すと、zが動く
④ 右PC予約ウィンドウ右下の方の「承諾」を押す
⑤ ③と④を繰り返し、残りの頂点の位置も登録する
⑥ 下の「次へ」を押す

2-3-3 マッピングする際の「倍率」および「重複率」を設定する
・ 100倍よりも低い倍率だと、元素マッピングの輝度にムラが生じやすい
・ 倍率が高いと、マッピングするフィールド数が増えすぎる(右のほうにマッピングする枚数が表示される)
・ 荒く全体像を把握したい場合は重複率0でもよいが、きれいな像にしたい場合は重複率10%程度が良い

2-3-4 「完了」を押す。するとウィンドウが閉じ、右の「自動化」に予約した領域について表示される

 

3 元素マッピングの条件設定(右のPC)

3-1 左上タグボタンを「EDX」→「マップ」→「マップの収集」を選択

3-2 「設定」を押し、「収集時間」の「収集時間設定」にチェックし、「フレーム数」(積算回数)を決める
※ 「停止するまで収集」を選択すると、LAマッピングの「予約」を押すことはできない

3-3 (必要に応じて)「ピクセルデュエルタイム」(1フレーム1ピクセルあたりの収集時間)を設定
※ 「フレーム数」×「ピクセルデュエルタイム」が、1ピクセルの収集時間になる
「フレーム数」×「ピクセルデュエルタイム」の値が同じであっても、「フレーム数」が大きい場合のほうがマッピングに時間がかかる
一方、「ピクセルデュエルタイム」が大きい場合は、導電性によっては電子ビーム由来のドリフトが起きやすくなる

3-4 「フレームライブタイム」を確認し、マッピング終了時間を予想する
※ 「フレームライブタイム」は1フレームのマッピング時間
「フレームライブタイム」×「フレーム数」×「フィールド数(2-3-3の時に出てくる数字)」+α がおおよそのマッピング終了時間になります

3-5 「スキャン後にビームオフ」にチェックが入っている場合は、それを外す
※ 「EDXマップ収集データ設定」ウィンドウの「スキャン後にビームオフ」にチェックが入っていると、LAマッピングの「予約」を押すことはできない

3-6 「EDXマップ収集データ設定」ウィンドウを閉る

3-7 「予約」ボタンを押し、「領域の選択」を選択して「次へ」

3-8 2で定義した領域であることを確認して「完了」を押す

※ 「マップ生成」の、右下(中央下)の「マップの詳細」ウィンドウから、あらかじめ表示したい元素を選択しておき、「定義して保存」としておくと後の処理が楽になる場合がある

 

4 LAマッピングの実行(最終確認)

4-1 (右PCの右のほう)「自動化」メニューで「Area ?」の下に、「??フィールド」「Electron Image」「EDSマップ」となっていることを確認

4-2 「自動化」メニューで、上記1~3で定義したarea(これから取得したいデータ)のみが表記されていることを確認
※ 別のareaが表記されている場合、そのareaも含めて自動化メニューが実行される
別のareaが表記されている場合はそのareaを削除する

4-3 (任意)下の「設定」で「実行後にビームオフ」にチェックが入っていることを確認

4-4 (左PC)「RDC」ではないことを確認

4-5 (左PC)「SRT」が180であることを確認

4-6 EDXの状態が「コールド」で、「測定位置」にあることを確認

4-7 上記のことが確認出来たら「実行」
※ 実行後、2-3-3で設定した倍率と実際に実行されている倍率があっているかチェックしたほうが良い。
設定後に倍率にかかわる条件の変更などをしている場合、設定の倍率と実行中の倍率がずれていることがあるため。

 

5 LAマッピングの終了後のデータ

・ 各フィールドのマッピングデータは、右の「データツリー」の「area ?」の下に保存されている

・ 1枚の大きなマッピングデータが欲しい場合は「マップ」の右上のほう「画像の結合」を選択し、「自動調整(任意)」→「画像の結合」と押すと、1枚の大きなマッピングデータ(Montaged Map Data)が生成される

・ Montaged Map Dataは通常のマッピングのデータと同様に、「マップの生成」などで編集することが可能
※ データ保存のやり方は、ホームページ「マップ画像の保存」を参考にしてください