コンテンツへスキップ

抗菌ペプチド・マガイニン2のポア形成に対する膜電位の効果とそのメカニズム

Mamunさんたちの「抗菌ペプチド・マガイニン2のポア形成に対する膜電位の効果」の論文が、BBA-Biomembranesに掲載されました(1862, 183381, 2020) [Abstract]。この論文では、マガイニン2 (Mag) のGUVの膜中のポア形成に対する膜電位の効果を、最近我々の研究室で開発された方法 (Biophys. J. 118, 57, 2020) を用いて研究した。ポア形成の速度定数kpは負の膜電位の増加とともに増加することを見出した。また、蛍光ラベルしたMag(CF-Mag)とGUVの相互作用を共焦点レーザー顕微鏡により観測すると、GUVの外側の単分子膜の膜界面でのCF-Mag濃度(XOM)の時間変化を測定することが可能である。負の膜電位が増加するにつれて、XOMは増大した。さらにこの結果を理論的に解析し、実験結果を合理的に説明することに成功した。この現象のメカニズムとして、負の膜電位の増大につれてCF-Mag の外側の単分子膜の膜界面での濃度(XOM)の増加が起こり、それが内側単分子膜の張力を増大させてポア形成の速度定数を増大させたと考えられる。