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Farzanaさんたちの「抗菌ペプチド・ラクトフェリシンB (LfcinB) が誘起する細胞膜や脂質膜からの急速な膜透過には膜電位が重要な役割を果たす」の論文が、アメリカ生化学会・分子生物学会 (ASBMB)の J. Biol. Chem. に掲載されました (J. Biol. Chem. 294, 10449, 2019) [Abstract]。この論文では、まず LfcinB が大腸菌や大腸菌のスフェロプラストから急速な膜透過を誘起することと膜電位の消失によりそれらが阻害されること見出しました。次に大腸菌の脂質から構成される巨大リポソーム (GUV)に対して LfcinB が局所的な膜破裂を誘起し、その速度が負の膜電位が大きくなるにつれて増大することを見出しました。これらの結果は抗菌ペプチドが誘起する膜のダメージ(またはその結果生じる膜透過の増大)が膜電位に依存することを初めて直接的に示したものです。

Moynulさんたちの「脂質分子の二分子層膜横断に対する膜張力の効果」の論文がアメリカ物理学協会 (AIP) の J. Chem. Phys. に掲載されました (J. Chem. Phys. 148, 245101, 2018) [Abstract] [PDF]。この論文ではまず、巨大リポソーム(GUV)を用いた脂質分子の二分子層膜横断(フリップ・フロップ)の速度定数kFFを求める方法を開発しました。次にそれを用いて、膜の張力が増大するにつれてkFFが大きく増大することを見出し、その結果のメカニズムを議論しています。

ZahidulさんやSabrinaさん達の「細胞透過ペプチドの脂質膜ベシクルや細菌の細胞への侵入の素過程」のミニ総説がApplied Microbiology and Biotechnologyに掲載されました。 (Appl. Microbiol. Biotechnol., 102, 3879-3892, 2018) [Abstract]   [PDF]。この総説では、3種類の方法による細胞透過ペプチドの脂質膜ベシクルへの侵入のこれまでの研究がまとめられ、それらの方法論の利点と欠点が記載されています。特に、その中の一つである我々が開発した小さな巨大リポソーム(GUV)を内腔に含むGUVを用いた方法について詳細に記載されています。さらに、細菌の細胞への細胞透過ペプチドの侵入の研究についてもまとめられています。

Moynulさん達の「抗菌ペプチド・マガイニン2のポア形成の初期過程のメカニズム」の論文がアメリカ化学会のLangmuirに掲載されました (Langmuir, 34, 3349-3362, 2018)  [Abstract]。この論文では、まず外側と内側の単分子膜中の脂質分子の非対称的な分布に基づく非対称的な脂質のパッキングを持つ巨大リポソーム(GUV)の構築法を開発しました。次に、その非対称的な脂質のパッキングがマガイニン2のポア形成の速度定数に大きな効果をもたらすことを見出しました。また、マガイニン2のポア形成の定量的な理論を構築し、それが実験結果を良く説明することを示しています。さらに、脂質分子の二分子層膜横断の速度とマガイニン2が誘起するポア形成の相関についても記載されています。

 

Mizanurさん達の「細胞透過ペプチド(CPP)・トランスポータン10の単一ベシクルへの侵入の連続的な検出」の論文がChem. Phys. Lipidsに掲載されました。 (Chem. Phys. Lipids,  212, 120-129, 2018) [Abstract]。この論文では、内腔に小さなGUVを含むGUVを用いた従来の方法 (Islam et al., Biochemistry, 2014) ではできなかったCPPのGUV内への侵入に伴うGUV内腔のCPP濃度変化の連続的な測定方法の開発 (内腔にLUVを含むGUVを用いる方法)とそれを用いた結果が記載されています。CPPの濃縮効果やGUV内のCPPの拡散についても記載されています