What is catalyst / 触媒とは

「触媒」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
化学分野では「それ自身は変化せず、化学反応を促進する物質」のことを「触媒」と呼びます。日常生活にある殆どの製品は化学原料から合成されており、その生産には必ずと言ってよいほど触媒が使われています。触媒を使うことで生産に必要なエネルギー・資源が少なくて済むため、製造コストの面だけでなく、これからの持続可能な社会構築に向けても、高性能な触媒の開発が必須です。医薬品・農薬の製造にも利用されていますし、工場・自動車からの排気ガスからNOxやSOxを除去するのにも役立っています。

不均一触媒 / 固体触媒とは

 触媒の種類には幾つかありますが、その一つに均一触媒・不均一触媒というものがあります。均一触媒というのは、反応物の相(主には液体)に溶ける分子・イオン・錯体などの形で働く触媒のことです。反応物と均一に混ざるので触媒の効率が良く、有機合成などに広く使われています。2021年のノーベル化学賞を受賞した不斉有機触媒もこれに分類されます。
不均一触媒というのは、反応相(主には液相・気相)に対して固体で働く触媒のことです。金属・酸化物の表面や、金属ナノ粒子などを担体(反応に影響を及ぼさない固体)に固定化したものが使われます。固体であるため反応相からの分離・回収が容易で、工業的に利用されている触媒の多くが不均一触媒です。