/ 11月 21, 2022/ ニュース

高校生向けに、数学科のカリキュラムと時間割、および卒業生の言葉をご紹介します。

カリキュラム

大学の授業は教養科目と専門科目に大別されます。教養科目は、英語などの語学、キャリアデザイン、物理学・化学などの教養レベルの理系科目などで構成されています。教養科目は大学教育センターが実施する科目群で、所定の科目を合格しないと卒業できません。

専門科目は各学部・学科において専門的に学ぶ科目群のことです。理学部数学科では数学科目と数理データサイエンス科目で構成されています。理学部数学科の主な専門科目をご紹介します。このほか、4年生では希望する分野をセミナー形式でより深く学ぶ科目があります。

初年度導入科目代数学解析学幾何学統計学・確率論数理論理学数理データサイエンス
1年生の専門科目にはそれぞれ、演習と呼ばれる、練習問題やより深く学ぶための科目があります。問題をとくことによって理解の定着を図ります。また、現代数学に欠かせない集合の取り扱いの練習も行います。

微分積分学演習I・II(1年生)
一変数微積分学と多変数微積分学の計算練習を行います。
線型代数学演習I・II(1年生)
「線型代数学I・II」を定着させるための問題演習を行います。
集合と論理(1年生)
現代数学は集合をもとに構築されていると考えることができます。そのため、集合の扱い方を理解することは数学を学ぶ上で必須になります。この授業では集合に関する基礎事項をゆっくり丁寧に学びます。
大学の代数学の基本である、線型代数・群論・環論・ガロア理論を全て学習できます。静岡大学では特に環論を研究しています。また非可換代数幾何学を本格的に研究できる数少ない(唯一の?)大学です。

線型代数学I・II(1年生)、線型代数学III(2年生)
連立一次方程式、行列、ベクトル空間、固有値間題、行列の標準形などを学びます。
代数学入門(2年生)
抽象代数学の出発点として、群の基本的性質について丁寧に学びます。
代数学(3年生)
整数の集合や多項式の集合のように足し算・引き算・掛け算ができる集合を環といいますが、環の基本的性質について学びます。
代数学I(3年生)
ガロア理論を学び、「5次以上の代数方程式は一般に代数的な根の公式が存在しない」ことを理解します。
微分積分学を用いると、様々な自然現象・社会現象を微分方程式として記述できます。高校数学IIIで学ぶ1変数関数の微積分学の基本です。この基礎理論から段階を踏んで学びます。

微分積分学A・B(1年生)
一変数微積分学を学びます。数列の収束の説明から始めて、連続関数と微分に関する基本的な定理、閉区間において連続関数は定積分可能であること、微積分学の基本定理など、証明を中心に勉強します。
微分積分学C・D(2年生)
多変数実数値関数に対する微分・積分について学びます。
解析学
長さ、面積、体積の一般化である測度とルベーグ積分について学びます。
関数論入門(2年生)・複素解析学(3年生)
オイラーの公式など、複素数を変数とした関数の取り扱いを学び、高校で学んだ微分積分学を高い立場から見直します。
解析学I(3年生)
関数解析学の基礎理論を学びます。関数解析学は量子力学の基礎理論として利用されます。
常微分方程式、偏微分方程式(3・4年生)
常微分方程式論では、常微分方程式の解の存在やその一意性などを学びます。偏微分方程式論では、フーリエ変換、超関数とその偏微分方程式への応用について学びます。
幾何学は空間や図形を視覚的・直感的に議論することから始まった数学の分野です。まずは、ユークリッド空間(2次元なら座標平面、3次元なら座標空間)という高校数学でも扱われる空間の勉強から始めます。そのあと、解析的な手法を使って多様体などを研究している微分幾何学、空間の位相構造や結び目と関係のある研究を行っている位相幾何学、 群作用のある空間を研究している幾何学的群論などを学びます。

集合と位相(2年生)、位相数学入門(2年生)
ユークリッド空間の一般化である距離空間と、距離空間の一般化である位相空間を学びます。選択公理やツォルンの補題も学びます。
幾何学(3年生)
曲線や曲面を一般化した概念である微分可能多様体について学びます。一言でいうと、微分可能多様体とは、各点の周りに座標が定義され、2つの座標の間の変換が微分可能となる空間です。微分可能多様体上では、微積分が自然に定義されます。
幾何学I(3年生)
主に3次元ユークリッド空間内の(例えば、浮き輪の表面がなす曲面(トーラスという)など)に対し、(第一基本形式、第二基本形式を用いて、)Gauss曲率や平均曲率を定めます。
離散幾何学(3・4年生)
グラフ理論の入門を扱います。オイラーの一筆書きの定理や平面グラフの彩色の定理など身近な問題がグラフの内容に定式化できることを扱うとともに、グラフのいくつかの未解決問題についても紹介します。
位相数学I(3年生)
位相幾何の中で基本的な研究手法の1つであるホモロジー論の基礎を学び理解することが目標です。位相空間から代数的な位相不変量であるホモロジー群を定義するところから順を追って紹介します。
コインを複数回ふれば表と裏の出方はデタラメです。しかし何の規則性も無いわけではありません。例えば多数回ふったときには表と裏の出る回数は大体同じになります。これは「大数の法則」と呼ばれますが、なぜそうなるのか理由は簡単ではありません。コイン投げのように一見したところ規則性のなさそうな対象に潜む規則性を見つけ、それに数学的な説明を与えることを確率統計学は目指します。そのためには高校数学では扱わない高度な数学が必要になります。コイン投げのような場合の数に密接に関連したモデルだけではなく、自然現象や社会現象に現れる不確実現象の解明、例えば磁石のモデルであるイジング模型、また株価の変動やインターネットなどのネットワークの数理モデルにもなります。このように現実世界の数学モデルの解明が確率統計学の大きな動機としてありますが、一方で厳密に純粋な数学として取り扱うことで初めて見えてくる世界もあります。度数分布表のような身近な統計データの背後にもランダム性が潜んでいる場合が多く、確率論はそれを記述する有効な道具になっています。確率論の言葉を用いて数理統計学を展開することができ、より複雑な対象に対する本格的な統計解析の入り口になります。

確率論(3年生)
大数の法則や中心極限定理といった確率論の重要な定理を、具体例も交えつつ解説します。
統計学A(2年生)、統計学B・C(2年生、3年生)
数理統計学の基礎的な概念や手法を、実践も見据えて幅広く習得します。統計学Aは統計検定2級程度、統計学B・Cは統計検定準1級程度の内容です。
数理論理学とは「かつ」や「ならば」のような論理的な接続詞を数理的に解析する学問です。数学の証明を形式化する一手法である述語論理やチューリング機械に代表される理論計算機の基礎を学びます。さらに、無限集合を数学の観点から研究する公理的集合論も学べます。

数理論理学(3年生)
数理論理学の基本になる古典論理を、古典命題論理を中心に学びます。古典述語論理の入門的部分も学びます。
数学基礎論(3年生)
数理論理学に続き、古典述語論理を学びます。自然数の体系の基本を学び、数理論理学のマイルストーンであるゲーデルの不完全性定理の概略を学びます。
計算機構論(3・4年生)
計算可能性の理論の基礎を学びます。計算可能性の理論は、コンピュータの数学的機構の理論です。チューリング機械や計算量理論の紹介も含まれます。
公理的集合論(3年生、創造理学コース科目)
無限集合の解析に不可欠な順序数と基数の基礎を学びます。
現実世界のデータを、数学を用いて分析できるデータサイエンティストは近年ますます社会で求められています。そのデータサイエンティストとしての素養を獲得することを目的に、まずはプログラミングの基礎を学び、その次に企業の講師による講座を受講できます。授業を通して、企業におけるデータサイエンティストの役割や仕事内容を理解し、データサイエンティストのイメージを持つことを目的としています。

プログラミング(2年生)
代表的な汎用プログラミング言語であるC言語の学習を通して、プログラミングの基礎とコンピュータの動作の仕組みを学びます。
アルゴリズムとデータ構造(2年生)
近年広く使われているプログラミング言語 Pythonを用いて、実用的なプログラミングに必要となる基本的なアルゴリズムやデータ構造を学びます。
数理データサイエンス・数理データサイエンス実践演習(3年生)
企業の講師陣によるサポート体制のもとチーム形式によるデータ分析演習を行います。

各科目間の相関図も合わせてご覧ください。

時間割

静岡大学では一年を「前期」と「後期」に分かれたセメスター制を敷いています。大学生は各自で時間割を設定し、自主的に勉強し、卒業を目指します。理学部数学科学生の時間割サンプルをご紹介します。赤字の科目は必修科目、青字の科目は履修を強く推奨する科目、灰色の科目は選択科目,もしくは教員になるための教職科目です。一部の科目はクォーター制の科目として、セメスターの前半・後半のみで履修します。選択科目の中から興味のある科目を選択し、毎学期、平均して12科目程度を履修します。なお、年度によって時間割は若干変化することがあります。

1年生2年生3年生
◯ 前期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55 
  初修外国語入門I 情報処理・データ
サイエンス演習
線型代数学I
化学I 英語   微分積分学A
新入生セミナー(前半)
集合と論理(後半)
健康体育実技/演習(前半)
 
  キャリアデザイン(前半)
 
地球科学I 微分積分学演習I    
生物学I 物理学I 英語 線型代数学演習I

△ 後期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55 
  初修外国語入門II   線型代数学II
化学II 英語 微分積分学B  
学際領域A 健康体育実技/演習(前半)
 
   
地球科学II 微分積分学演習II (中等)教職入門(前半)
 
生物学II 物理学II 中級・上級英語 線型代数学演習II

◯ 前期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55   16:05 — 17:35 
    教養領域A
学際領域A
  (中等)教育の原理
(中等)発達と学習
  教養領域A
学際領域A
線型代数学III  
化学III 統計学A 集合と位相  
初修外国語I 英語   特別の支援を必要とする子供の理解(前半)
物理学III 微分積分学C    

オンデマンド科目 プログラミング もあります。また,夏休みに教職科目がたくさんあります。

△ 後期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55   16:05 — 17:35 
  関数論入門 教養領域A
学際領域A
   (中等)教育の原理
(中等)発達と学習
位相数学入門 教養領域A
学際領域A
   
  統計学B 代数学入門 代数学入門演習
初修外国語II 英語    
  微分積分学D    

オンデマンド科目 アルゴリズムとデータ構造 もあります。

◯ 前期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55   16:05 — 17:35 
    幾何学  
  統計学C   数理論理学
  常微分方程式
離散幾何学
  代数学演習
初修外国語III 解析学   教育相談 特別活動論
  教養領域A
学際領域A
複素解析学 代数学

夏休みに教職科目がたくさんあります。

△ 後期

   8:40 — 10:10   10:20 — 11:50   12:45 — 14:15   14:25 — 15:55   16:05 — 17:35 
(中等)教育と社会 幾何学I    
計算機構論 確率論 位相数学I 代数学I
  偏微分方程式
計算機構論
数学基礎論  
初修外国語IV 解析学I   教育相談 特別活動論
  教養領域A
学際領域A
複素解析学I  

卒業生の言葉

浅海翔(2016年3月学部卒業、2018年3月大学院修了、2022年時点 三栄ハイテックス株式会社 人工知能エンジニア)

私は静大の数学科に入り、数学好きの同志や熱心に指導して頂ける先生方と出会えました。大学で学んだ統計学やグラフ理論は、現在エンジニアの私にとって大変役立っています。あなたも静大数学科に入学しませんか? きっと人生がもっと面白くなりますよ。

新井悠可(2019年3月学部卒業、2022年時点 清水東高等学校 教諭)

私は高等学校時代から、数学の教員を志していました。教育学部も選択肢にありましたが、好きな数学を専門的に学び、背景を理解して高校生に教えていきたいと思い理学部を選びました。現在は、大学で学んだ事を大いに活かせる職につき、充実した生活を送っています。

四之宮暢彦(2012年3月数学科卒業、2022年時点 国立大学附属中学校 教諭)

数学科を卒業し、静岡県の中学校教員を経て、現在は都内の国立大学附属中学校で勤務をしています。理学部を目指す皆さんは、中学校や高校の数学の問題を解くことができると思います。しかし、その問題の背景まで本当に理解しているでしょうか? 大学で数学を学ぶと、今まで学んできた数学の背景やさらなる広がりに気づくことができます。今までの数学をさらに深め、広い視野をもった教員を目指してみませんか。また、ゼミを通して鍛えられる粘り強く考える姿勢や自分の考えを相手に伝える力は、どのような仕事でも必要になります。静岡大学で仲間とともに、自分を大きく成長させてみましょう!

上山健太(2009年3月数学科卒業、2011年3月理学研究科数学専攻修了、2013年3月自然科学系教育部情報科学専攻修了、2020年時点 弘前大学教育学部 教員)

高校までの数学は「できるようになること」を目標に勉強しますが、大学の数学では「分かるようになること」を目標に学びます。例えば高校数学と比べると大学数学では、証明を理解することに多くの時間を費やします。そうすることで様々な理論を厳密に理解できるようになり、より高い視点から数学を捉えられるようになります。私は静岡大学を卒業後、大学院に進学し、代数学の研究に取り組みました。現在では大学教員として教育学部で働いています。数学科で得た知識や経験を活かし、日々、未来の先生たちに数学の魅力を紹介しています。

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