/ 9月 26, 2005/ 集中講義

担当教員:佐藤 真久 教授(山梨大学大学院教授)

日時:2005年9月26日(月) 〜 9月29日(木) (終了)

理学部 C309室 / 受講対象:大学院および数学科4年生

大学院向けの講義ですが、理学部・数学科生も聴講できます(単位も出ます)

授業のねらい:代数学の基本概念である環と加群を、線形代数学を用いて多元環の場合により具体的にかつ視覚的に理解してもらう。 さらに具体的に加群を線形代数学の計算で求めてみる。これらを通して、逆に線形代数学の本質を環と加群の立場で見直すと、線形代数のより深い意味が見えてくることを理解してもらう。

授業の概要:線形空間を用いて、環や加群を具体的に表示する方法を学んでいく。加群を分解し、これ以上分解できない原子のようなものの数学的概念として、直既約加群を考える。ジョルダン標準形や代数学でいろいろなものを決めることは、実は直既約加群の計算になっていることを示す。視覚的に訴えて分りやすくするためにグラフを用いて環を表し、それに線形空間と線形写像を対応させる「多元環の表現」の基本を学び、表現の具体的な計算を行う。特に、グラフが線分となる遺伝環は、ルート系とワイル変換と呼ばれるものを計算することで簡単に直既約加群が分ることを学ぶ。

授業計画
1 線形代数学復習 (1) ベクトル空間、線形写像 (2) 内積、2次形式とグラフ (3) 鏡映変換 
2 有限次多元環と有向グラフによる多元環の表現 
3 加群と有向グラフによる加群の表現 
4 遺伝環と2次形式 (1) 鏡映変換とワイル変換 (2) 正定値2次形式とディンキン図形 (3) ルート系

参考書 : 岩永恭雄・佐藤真久著:環と加群のホモロジー代数理論(日本評論社)

注意 : 線形代数学の基本事項を復習しておくこと

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