Recognition

〇 R. Kotsubo was recognized on “Modeling of CMOS Cross-Coupled RF-DC Charge Pump” with Research Encouragement Award at Young CAS Researchers Workshop from IEEE Circuits and Systems Society Japan Joint Chapter in Nov. 2022. Link1, Link2, Link3, Link4, link5
〇T. Hashimoto was recognized on “Highly efficient design of rectenna with antenna and on-chip rectifier for minimizing input power” as the final candidates for Design Award by d.lab-VDEC in Sep. 2022. Link

〇S. Tanabe was recognized on “Design of DC-DC converter for 10X longer battery lifetime with thermoelectric generator” as the final candidates for Design Award by d.lab-VDEC in Sep. 2022. Link

〇Y. Kanayama was recognized on “Proposal of fast operation boost converter for NAND Flash” as the final candidates for Idea Contest by d.lab-VDEC in Sep. 2022. Link
〇T. Kotsubo was recognized on “Proposal of circuit model for low-power RF-DC converter design” as the final candidates for Idea Contest by d.lab-VDEC in Sep. 2022. Link

〇 Dr. Andrea Ballo, Ph. D student at the time when he was a researcher at my lab from June to October of 2019 and now research fellow of the university of Catania in Italy, received the best Ph.D. thesis for the year 2020-2021 from the Società Italiana di Elettronica (“Italian Society for the electronics” in English). Link1, Link2
〇 T. Hashimoto was recognized on “An optimum design of antenna and on-chip rectifier for microwave wireless power transfer” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2021. Link
〇 K. Nono was recognized on “A design of low cost power converter with maximum power point tracking for thermoelectric energy harvesting” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2021. Link
〇 H. Makino was recognized on “A low power circuit design for NAND Flash memory using 1.2V I/O power supply” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2021. Link

〇 T. Nomura received d.lab-VDEC Design Idea Award for “A Proposal of DC/DC Boost Converter Based on Extremely Low-Voltage LC-Resonant Oscillator” in Sep. 2020. Link, Link2

〇 Y. Tabuchi was recognized on “Highly Efficient Circuit Design for Micro-watt Wireless Power Transmission” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2020. Link
〇 Y. Sakamoto was recognized on “Power Converter System for Energy Harvesting Toward Zero Net Battery Power” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2020. Link
〇 T. Nomura was recognized on “A Proposal of DC/DC Boost Converter Based on Extremely Low-Voltage LC-Resonant Oscillator” as the final candidates for Design Idea Award by d.lab-VDEC in Sep. 2020. Link
〇 K. Matsuyama was recognized as a honor student of Shizuoka university in 2019. Link
〇 K. Matsuyama received VDEC Design Award for “A Pre-Emphasis Pulse Generator for Large Memory and Panel Display Arrays” in Sep. 2019. Link, Link2
〇 H. Kawauchi received VDEC Design Award for “A Fully Integrated Clocked AC-DC voltage multiplier” in Sep. 2019. Link, Link2

〇 K. Matsuyama was recognized on “A Pre-Emphasis Pulse Generator for Large Memory and Panel Display Arrays” as the final candidates for Design Award by VDEC in Jun. 2019. Link
〇 H. Kawauchi was recognized on “A Fully Integrated Clocked AC-DC voltage multiplier” as the final candidates for Design Award by VDEC in Jun. 2019. Link

〇 Y. Tabuchi was recognized on “An Optimum Design of Micro-watt RF Energy Harvesters with RF-DC and DC-DC Conversions” as the final candidates for Design Idea Award by VDEC in Jun. 2019. Link
〇 K. Koketsu was recognized on “An Optimum Design of Thermal Energy Transducers and Power Converters for Small Form-Factor Thermoelectric Energy Harvester” as the final candidates for Design Idea Award by VDEC in Jun. 2019. Link
〇 Y. Ishida was recognized on “A Design of AC-DC Converters Fully Integrated in Standard CMOS for Electrostatic Vibration Energy Harvesting” as the final candidates for Design Idea Award by VDEC in Jun. 2019. Link

〇 H. Kawauchi received VDEC Design Idea Award for “A clocked AC-DC voltage multiplier for increasing the power conversion efficiency in vibration energy harvesting” in Sep. 2018. Link1, Link2, Link3
〇 K. Matsuyama was recognized on “Design of pre-emphasis pulses with minimal RC delay time” as the final candidates for Design Idea Award by VDEC in Jun. 2018. Link

〇 H. Kawauchi was recognized on “A clocked AC-DC voltage multiplier for increasing the power conversion efficiency in vibration energy harvesting” as the final candidates for Design Idea Award by VDEC in Jun. 2018. Link

仮説を証明するために

工学は、物理や化学の法則に基づいた現象を利用して社会に役立つものや情報を作り出すことが使命だ。利用しようとする現象を物理モデルで説明できるか調べてみて、そのモデルが妥当そうなら、どのような構造のものをどのような大きさでどのように製造すればいいか検討していく。物理モデルを立てるときは、それはまだ仮説であって妥当かどうかは不明である。これまで自分が学んできたことから単に予想したものに過ぎない。いろいろな事象に対してもそれが矛盾しないことをコツコツ積み重ねていって、ある程度確信が持てたらそのモデルを基礎にして次のステップに進むことができる。つまり、仮説を立ててそれを証明することが最初のステップだ。

哲学者の三木清は著書の中で、各人は一つの仮説を証明するために生きている、と書いた。~何に価値を置いて生きていくかを決めて生きていく。これは仮説にすぎないけれど、それで生きていくということはそれを自分の人生で証明しようと取り組むことに他ならない。~

生きることを、理想に向かう行為、あるいは理想を行うことだとすると、その理想は(どの理想も)普遍的に正しいと証明されたものではないから仮説でしかない、ということだろう。各人が正しいと信じた道を選んで進んでいくことが人生を歩むことであるから、各自の人生は各自の仮説の証明に向けた努力である。自分が正しいと思う道はどこにあるか?先人の知恵を尋ねようと思うと、長い歴史の中で生き続けている思想あるいは古典だろう。今の自分で考えて一番正しいと思う道を行くしかない。Aという道とBという道も同じように正しいと思うならその間に道を作っていくこともできる。それは全くの自由。ここまで来たけれど、Cという道も正しそうだから少し方向を変えて行こう、ということも自由。いつでも途中修正が可能な自由度の高い道だ。ただ、理想は到達することのないものだし死は突然なことだから、生きている間にあるいは死の直前に「自分の仮説は正しいと証明された」と言うことはできない。できることがあるとすると、それは「今仮説を部分的に証明した」という瞬間を持つことだけだ。学ぶとは、先人の証明してきた仮説を学ぶことだ。

こうして、工学分野で生きていこうと考える者は、学んだことを基礎に自分の工学分野の対象に仮説を立てて、それを実証することを行い続けるそのことがそのまま、工学で生きるという仮説を自分が実証しているんだと思う。
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電子回路IIで話したいこと


電子回路Iでは 
    電気回路には登場してこなかった新しいデバイス~ダイオード、バイポーラ・トランジスタ、MOSトランジスタ~の動作原理を、半導体物理から理解しようと試みた。これらの素子の電圧電流特性は非線形であって、これまで習ってきた抵抗、キャパシタ、インダクタといった線形素子では有効であった重ね合わせの原理は適用できなかった。交流信号振幅が微小であって、その電圧変化、電流変化が一次の項だけで十分近似できる条件では、ダイオードやトランジスタは線形モデルで置き換えることができた。一旦線形モデルで置き換えると、その全体回路は線形回路となって、これまで習ってきた電気回路の問題になる。キルヒホッフの法則で電圧と電流の関係が定量化でき、入力と出力の関係式、入力電圧電流の関係式、出力電流と電圧の関係式を求めることができた。増幅回路の特性は、電圧電流利得と入出力インピーダンスによって特徴づけられる。これらの特性パラメータが求まってしまうと、増幅回路は入力端子と出力端子の付いた箱と見なしてよく、中身の詳細は不要となる。入力に信号源を接続し、出力に負荷を接続したときの電圧利得は、中身を見ずとも計算することができるからである。複数の増幅回路を接続する場合、互いの入力と出力の動作点=バイアス点は必ずしも同一とは限らないから、通常はDCをカットするためのカップリング・キャパシタを介して信号が伝達される。電子回路Iでは、このキャパシタは信号の周波数において十分インピーダンスは低いとされ、ACショートとして扱ってよい、とされた。結果として、増幅回路は周波数特性を考慮する必要はなかった。しかしながら、一般に信号の持つ周波数~帯域という~は狭帯域だけでなく、広帯域であることも多い。

そこで電子回路IIでは
    最初に増幅回路の周波数特性を調べる。電圧利得はどのようにして周波数によって変化するのかを理解する。まず、積分回路と微分回路の利得と位相がどのように周波数に対して変動するか詳しくみてみる。トランジスタは寄生容量を持つから、小信号回路モデルにもこれを付加しなければならない。その結果、電流伝達率α、電流増幅率β、相互コンダクタンスgmが高周波では低下する。ゲート・ドレイン間とベース・コレクタ間の寄生容量は、ゲートやベースを駆動するドライバからは桁違いに大きく見える。ゲートやベースが上がろうとするときに、ドレインやコレクタは反転増幅する~入力信号の変化量の何倍も低下する~ので、ゲートやベースを充電しているのに電圧がなかなか上がれない。つまり、容量は電圧利得倍増幅して重くなる。これを発見者の名前にちなんで、Miller効果と呼ぶ。その後で、増幅回路の周波数特性をボード線図で理解する見方をやる。アンプに帰還をかけて、信号をフィードバックするフィードバック回路も調べる。例えば、5V電源が入力されたICで、チップ内部を3Vに降圧する場合を考える。5Vが負荷の変動で4.5Vにドロップしても、チップ内部は3Vのままにできるため、回路は安定に動作できる。このような負荷変動で回路がどの程度安定かをボード線図を用いて言うことができる。これは増幅回路に限定されない、一般のシステムの安定性を定量的に議論できる強力なツールである。また、増幅回路は動作点に置かれ、その周りを微小振動する。動作点を設定するバイアス回路も重要な回路である。電子回路Iでは、温度変動の小さなバンドギャップ・リファレンスを調べた。電子回路IIでは別の回路も見てみよう。さらに、トランジスタの動作電流は定電流源で与えられる。定電流を発生する回路についても見てみよう。これまで調べてきた増幅回路は1入力1出力のシングルエンド型だ。1入力をAsin(wt)としてみよう。これを二つの差動信号A/2 sin(wt)と-A/2 sin(wt)の差として与えることもできよう。このときその増幅回路は差動増幅回路と呼ばれる。差動化で有利な点、変わらない点、不利な点、について考えてみる。増幅回路の仲間に、演算増幅回路と呼ばれるものがある。アナログ加算や減算ができるため、そのように呼ばれる。最後に、これまでの解析方法を使って、発振回路、電源回路、変復調回路の動作を理解してみよう。 

    電子回路IIでは、以上のことを定量的定性的に理解することが目的で、次の質問に答えられるようになることが目標である。

アンプやトランジスタの周波数特性について

  • DC-CutのためのCoupling capacitorがショートと見なせなくなる周波数はいくらか?
  • アンプの負荷容量がどのようにアンプの利得に影響を与えるか?
  • 総じて、どのRCがどのような周波数特性を決めるか言えるか?、RとCを含むアンプの小信号特性の周波数特性が計算できるか?、その特徴を言葉で説明できるか?
  • トランジスタの高周波小信号回路モデルが自分で描けるか?
  • ミラー効果が何かを言葉で説明できるか?
  • ボード線図が何かを言葉で説明できるか?
  • 積分回路と微分回路のボード線図を手描きできるか?
  • 低域・高域遮断周波数の定義を言えるか?

カレントミラーとバイアス回路

  • カレントミラー:動作原理と実用動作範囲が何で制約されるかを言葉で説明できるか?
  • カスコード・カレントミラー:カスコード化で出力抵抗が上がる理屈を説明できるか?
  • 定電流発生回路:回路図が描けるか?動作を説明できるか?出力電流の式が自分で導出できるか?
  • 定電圧発生回路:バンドギャップ・リファレンスの原理を説明できるか?

差動増幅回路 

  • 差動型とシングルエンド型がどう違うか説明できるか?差動型の利点は何かを言えるか?
  • 差動アンプの入出力特性のグラフは描けるか?出力電圧の可動範囲はどのように決まるか?
  • 差動と同相、差動利得と同相利得はどう違うか説明できるか?
  • 電流源のソース抵抗を考慮した差動増幅回路の差動電圧利得、同相電圧利得、同相除去比を自分で計算できるか?
  • 能動負荷差動増幅回路の差動電圧利得の計算が説明できるか?

負帰還回路技術

  • 最も簡単な帰還回路である図1を描けるか?それに基づいて電圧利得が計算できるか?
  • 増幅回路の電圧利得Aが大きい場合に帰還回路の電圧利得GがAには寄らなくなることを説明できるか?
  • 帰還回路の周波数帯域は元の増幅器より広がるのはなぜかを説明できるか?GB積が変わらないのはなぜかを説明できるか?
  • 負帰還回路が安定動作する条件を説明できるか?

演算増幅器

  • 反転・正転・加算・減算・積分回路の各回路図が与えられたとき、それから入出力電圧の関係式が導けて電圧利得が計算できるか?
  • 開ループと閉ループの周波数特性の違いを説明できるか?
  • 小信号と大信号の時間応答の違いを説明できるか?
  • 位相補償の考え方を説明できるか?

発振回路

  • 発振の条件を説明できるか?
  • LC共振の発振周波数はいくらか計算できるか?増幅部がないとなぜ発振が継続しないか説明できるか?増幅部があるとなぜ発振を継続することが可能となるか説明できるか?
  • RCタイプの発振回路が発振する理屈を説明できるか?

 電源回路

  • 半波整流・全波整流の回路動作を説明できるか?
  • Series regulator or linear regulatorの回路動作を説明できるか?
  • Switching regulatorの回路動作を説明できるか?
  • Charge pumpの回路動作を説明できるか?

変復調回路

  • 電圧制御発振回路の動作原理を説明できるか?
  • ミキサーの原理を言えるか?それを計算で示せるか?
  • 振幅変調回路の動作原理を説明できるか?

学習+スマホ~0というケース

脳トレの開発者として有名な川島先生が書かれた「スマホが学習を破壊する」を読んだ。「脳はマルチタスク対応ではない」にはホッとさせられた。これまで自分がマルチタスクをやろうとするとどれも思うように進まないので、いつも一つだけに集中するシングルタスクしかやってこなかったからだ。一つの問題に取り組んでいってここが解けたら先に進めることが分かったら、次にその問題を先に解こうとそれだけに集中する。これを繰り返して複雑そうに見えた問題の答えを自分なりに見つけていく。自分だけがマルチタスクができないわけではなかった。
   もっと驚いたデータは、家での学習時間が30分未満で、スマホを全く使わない中学生の数学の成績の平均点が、2時間以上学習しているけれど3時間程度スマホもやっている学生のそれよりよい、というもの。学習でせっかくつないだパターンを、スマホをいじることで崩してしまって元の状態に戻っているという点だ。特に、ゲーム、ライン、動画など、マルチタスクをするほど影響が大きいとのこと。スマホを一日一時間以上やると時間が増えるに従って成績が落ちている。
   医療では、治療法が複数あるときオプションAとBのいい点と悪い点を並べて、それらの統計データを患者に示して、患者が治療法を選択できるようになってきているらしい。スマホを使うことにそのような負の側面があることが分かった今、スマホを販売するメーカーは「XXができます」というのと合わせて、一日これだけ使うと学習への影響は平均的にはこうなりますということを知らせる義務を負うことになるだろう。こういう使い方なら学習にも効果的だ、のようなポジティブなものの開発にもつなげてほしい。
   パソコンで文を書いても前頭前野は活性化されないそうなので、スマホをあまり使わない人も注意が必要。どんな漢字だったか考えながら手で字を書くと活性化することから、脳によいマルチタスクは脳1+脳2ではなくて、脳+体ということのようだ。早速、講義の資料はできる限り手で書くことにした。0(ゼロ)のつもりで書いた記号をθ(シータ)と読ませてしまった学生や1.01mAを1001mAとして計算させてしまった学生がいたので反省。どちらも計算自体は正しいのでもちろん〇でした。「ワープロで書いてよ」と言われない程度にまで丁寧に書くようにします。
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一対一

これまでたくさんの先生たちに考え方や観方を教わってきた。どの先生からもユニークなものを教わってきたと思う。中でも特別大きな影響を与えられたと思うのは、先生がほんの数人に対した中の一人だったときか、あるいはMan to manの場面だ。書道の宮崎先生やピアノの田中先生から教わるのもMan to manだ。ここの払いはこのように、ここの跳ねはこうやって、と筆遣いの型を教えて頂くし、この音とこの音の間はここの二倍にする、右手をここにこう置くと、この音から次の音をこんな風にスムーズに出せる、とピアノの弾き方の型を教えて頂く。他の人へのアドバイスを聴いていても、少しは自分に通じる教えがあるがほとんど参考にならない。くせは一人一人違うから、先生の言葉も一人一人違う。先生は自分のどこが型からずれているかをぱっと見抜いて、その場でどうすればよくなるか適切な言葉でアドバイスされる。自分はそこを意識しながら10枚20枚と書き、10回20回と繰り返し同じ個所を弾く。繰り返して型を身に付けようとする。そのうち意識しないでできるようになったら、型が身に付いたということなんだろう。
   大学の講義では学生が50人や100人を超えるものもある。100人いようが一人だろうが、先生のおっしゃったことをこちらが受け止める量に差はないはずだ。話の密度が1/100対1/1になる訳ではないのだから。それでは何故、100人に向けられた言葉と一人だけに向けられた言葉で大きな違いが生じると感じるのだろうか?両者には実際に違う言葉になっているからであろう。一人であれば、その場でそれはなぜか問うことができて、その場で自分が納得する説明を得るまでQ&Aが繰り返される。最初の質問はそれを発した人の大事な点であって、最後の答えは暗闇を奥まで照らす一条の光になる。その明かりを頼りに、今度は一人である程度その道を進んでいける。100人の講義でそのような質問がされることはほとんどない。こちらに明らかな間違いがあった時、それを皆の前でも指摘できる学生がいるときくらいだ。非常に本質的な質問をする学生がいても、その学生のために講義時間をたくさん割くことはできない。この講義では何をどこまでやるかということを予めシラバスと呼ばれる予定表で決めているからだ。従って、その学生への大事なQ&Aは、講義が終わってからMan to manで行う。その学生は自分で一対一の場面を作り出して、貴重な明かりを得ることに成功する。それ以外の学生は教員の予め用意したStoryを聴くだけになる。各学生は、全体の話のうちには「なるほどそうか」という瞬間が何度かあるかもしれない。しかし、最も知りたかった疑問に対するヒントは得られなかっただろう。ツボにはまらないまま講義が終わってしまう。
   毎回の宿題の際に講義のコメントを尋ねているが、これを書いていてずっと重要な問いがあることに気づいた。表面的なコメントよりもずっと深い問い、「不明だった部分はなかったか、特にその不明なことが気になってしょうがないようなところはどこか」のような問いである。自分一人に向き合ってくれた先生方が僕にしてくれたようなことを、今度は若い人にしてあげられるよう工夫したいと思った。一対一の場面をどう作りだせるか、それが課題だ。
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anime-3

 Voltages vs. position (zero indicates the nearest and one indicates the farthest) after an optimum pre-emphasis time. Wave components with different wave numbers (k) vary at different time scales (exp(- k^2 t). Created by Matsuyama