ゼミ・学生の論文指導においては、実際の現場における社会調査(特に質的調査や参与観察)を中心に、現場から学びそれを学術的な問いにブラッシュアップさせていくことを目指します。そのため、社会学の知見だけでなく民俗学、文化人類学、政策学、環境倫理学などの人間社会にかかわる周辺領域の知見が用いられますし、現場を理解するために生態学や工学、農学などの自然科学的素養も求められます。
現場の状況は現場ごとに多様であり、また焦点を当てるべき問題も数多くあります。環境学ではそうした複雑な状況に対してどのように「問題設定」を行うのか、がまず大きな課題になります。そのため、学生研究においてもそれぞれ「問題設定」を行い、いわば学生個人が独立して研究テーマを確立することが求められます。自力でのテーマ設定は決して「楽」なものではありません。しかし、それは知的刺激に満ちた「楽しい」ものであり、その人の人生を豊かにする力があります。ゼミや論文指導においては、単に学術的な知識を勉強するだけでなく、複雑な現実に対してどのように向き合うのかという点を重視しています。
具体的な研究活動の特色やイメージは富田自身の仕事も参考になると思います。「研究の仕事」や「最近の研究活動」もご覧ください。
ゼミの担当について
現在、大学院においては
- 静岡大学大学院山岳流域研究院(修士課程)
- 静岡大学大学院総合科学技術研究科農学専攻(修士課程)
- 岐阜大学大学院連合農学研究科生物環境科学専攻(博士課程)
の院生のゼミおよび修士論文、博士論文の指導を担当しています。山岳流域研究院では「修士(流域学)」、総合科学技術研究科では「修士(農学)」の学位が取得できます。研究室ゼミとしては同じですが、山岳流域研究院は日本初の「流域学」の学位プログラムで、カリキュラムが異なります。どちらがよいかは教員に相談の上、検討してみてください。
また、岐阜大学大学院連合農学研究科では「博士(農学)」の学位が取得できます。所属上岐阜大学となりますが、私を主指導とした場合は静岡大学の配置となります。
なお、学部においては
- 静岡大学農学部生物資源科学科(2022年度入学生まで)
- 静岡大学グローバル共創科学部生命圏循環共生学コース(2023年度入学生から)
の学生のゼミおよび卒業論文指導を担当しています。
ゼミ参加、大学院進学や論文指導を希望する方は、事前に教員に連絡し、相談してください。
学生指導論文のタイトル(一部)
修士論文
- 生計選択に働く“ちから”:生計と社会の共進化に着目して
- 「自然とのつきあい方」の継承プロセスの再構築:対馬市佐須奈地区における「夏休み子ども寺子屋」での実践を通して
- 自然再生事業において「生きるものが出会う場」を創ることの意義:静岡市葵区麻機地域を事例に
卒業論文
- なぜ環境NPOは「地域づくり」を目指すのか?:静岡県三島市を事例に
- 地域の「大切なもの」を守るにはどうしたらよいか:静岡市清水区三保の松原の「場所性」を事例に
- 「地域資源」が見出されるプロセスの考察:静岡県賀茂郡松崎町の「川のり」を事例に
- 動物園での「飼育」は,何を意味するのか:日本平動物園の園内新聞「でっきぶらし」を事例に
- 地域における風力発電の社会的受容性:掛川市大須賀区域における風力発電事業を事例に