faculty/ 1月 23, 2024/ staff

教授 間瀬暢之 Nobuyuki MASE
静岡大学 浜松キャンパス
(教員室)工学部4号館405
号室
(実験室)工学部4号館402号室
Tel & Fax: 053-478-1196
E-mail: mase.nobuyuki[at]shizuoka.ac.jp
研究室HP >静大DB >Researchmap >ORCiD

研究キーワード
有機合成 / 不斉合成 / グリーンケミストリー / プロセス化学 / ファインバブル / フロー合成 / マイクロ波 / 機械学習 / 酵素 / 香料 / 酵素阻害剤 / 有機分子触媒 / 環境調和型触媒 / 超臨界流体化学

研究内容
1)ファインバブル(FB)を用いた新規有機合成手法の開発
有機合成反応において気相-液相反応の効率性を向上させることは、合成化学だけでなく環境関連化学の面からも重要であります。従来の気相-液相反応では、気体の溶存濃度および反応性を高く維持するため、高温・高圧下、耐圧容器を用いて激しく撹拌しながら反応させる方法が一般的でありました。しかし、効率性だけでなく安全性も求められる現代において、安全性の低い従来法の改善が強く求められています。我々は通常の気泡とは異なる性質を持つマイクロバブル・ナノバブルに着目し、常温・常圧下、耐圧容器を必要としない気相-液相反応プロセスの開発に成功しました。
2)連続フロー合成によるファインケミカルズ合成(実験計画法と機械学習)
バルクケミカルだけではなく、高付加価値のファインケミカルの合成に対しても、グリーンな手法が求められています。安全性と生産性を両立するフロー化学は、新世代の製造手法として注目を集めています。しかし、その条件、手順、装置の最適化は時間がかかります。データサイエンスがより身近になったことと、フロー手法との良好な相性により、グリーンなフロー化学の発展に向けた環境が整いつつあります。今後、フロー化学におけるプロセスのレシピを作成するケミストの育成が極めて重要であり、その一端について研究を進めています。
3)超臨界二酸化炭素と有機分子触媒を利用したポリ乳酸の高純度合成技術
とうもろこし等の原料から作られるポリ乳酸はカーボンニュートラルな材料であり、近年の環境問題に対する意識の高まりにより、筐体やフィルムとして実生活において利用されています。これまでの合成法は、スズ等の金属触媒下、200℃付近でのラクチドの開環重合が一般的でありました。一方、我々は有機分子触媒と超臨界二酸化炭素 (scCO2)を用いることによって、低温・短時間での重合反応を可能にしました。さらに、scCO2抽出による触媒の除去、界面活性剤による直接粒子化も達成しました。これらの成果は、金属・有機溶媒・残モノマー・触媒フリーの高純度ポリ乳酸合成プロセスへの工業的応用が期待されます。