【第4回】危機に備える心構え

      【第4回】危機に備える心構え はコメントを受け付けていません

投稿者:浅野 安人(昭和47年卒 理学部 物理学科卒、理学部同窓会長)

3月11日に発生した東日本大地震からまもなく半年が過ぎようとしています。被災され亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈り申し上げます。

1991年6月3日の雲仙普賢岳の大火砕流発生、1995年1月17日の阪神淡路大地震などはいまだに記憶に鮮明ですが、2004年12月26日のインド洋地震によるタイ・ブーケットの大津波、2005年3月28日のスマトラ沖大地震によるインドネシア・アチェとその周辺地域の大津波のほか、ごく最近では、2010年1月12日にハイチの首都バハマの大地震、同年2月27日にはチリでM8.8の大地震と地球規模で大地震が発生しています。昨年のチリ大地震では、遥か太平洋を越え、約18時間かかって、津波が日本沿岸にも襲来しました。50年前のチリ大地震よりも規模が小さかったため、このときは幸い岩手県久慈港で1.2mの津波でしたが、人々の行動を見ると、避難勧告が出ているにも拘らず避難していない人や、第一波が押し寄せた後で、自宅に帰ってしまった人など対応が様々でした。人は、経験により知識を身につけることが多いのですが、今回の地震では、人々の潜在意識の中でこれが仇となったのかもしれません。情報が迅速に伝達され、正しく認識され、記憶にとどめられていないと命に関わる問題でさえ、経験のない人は適切な行動が取れないものなのだと思います。

1000年に1度の大災害は誰しも経験したくないでしょう。それに代わるものが、過去の記録の伝承と、日頃の防災訓練や危険予知活動です。体を動かして体験することの大切さがそこにあると思います。所在地の海抜や過去の津波・水害・崖崩れ・土石流発生等の来歴を標識等で記録にとどめておくと同時に、常日頃から避難経路や避難場所の整備整頓を心がけるようにしたいものです。