【第160回】農業振興の現場から一言

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太田 芳幹(昭和62年度 農学部園芸学科卒)

静岡大学農学部を卒業して35年。多くの同期が静岡県庁に入庁し、現在も農林業行政の第一線で奮闘しています。入庁後直ぐに平成の世となりましたが、茶やメロンなど本県を代表する作物は全国ブランドとして安定した価格を形成し、農業後継者の集まりは賑わいを呈していました。しかし、平成も2ケタになると農業従事者の減少、国内外の競争激化などから産業として陰りを感じるようになり、農産物を栽培するだけの「農家」には後継者が育ちにくい時代を迎えています。35年前の農業を肌で知っているだけに、退職を控える身として、将来を見越した指導が出来ていなかったと考えさせられます。

しかし、現場では多くの農業者が経営を維持・発展させるべく踏ん張っており、自分もそれなりの立場になる中、意欲的な農業者を以て農業が産業として維持出来るよう、計画的に新規就農者の育成や産地振興に取り組むことが農業行政に携わる者の責務と考えています。そして現所属では、職員とともに①販売先と連携した茶産地の再構築、②乾田直播技術の導入による大規模水稲経営体の労力分散、③農家実習と講座の組合せによる新規就農者の短期育成など、地域農業の在るべき姿をイメージし、この実現に向けた農業振興に努めています。

近年、農業職で採用される職員は誰もが優秀で、職務に必要な知識の吸収力には驚かされます。そして、この能力を活かして担当地域の農業を“俯瞰”して見る力と、課題を整理して実践する行動力を期待しています。厳しいと表現されることの多い農業ではありますが、現在の世界情勢から自国での食糧生産の重要性が再認識されています。農学部の学生の皆さん、農業振興の舵取り役・農業者の現場指導・試験研究に携われる県の農業職を就職先として志望してみませんか。

当所は、イチゴの新規就農希望者を対象に、先進的農業者での実習と、当所職員が講師を務める年12回の栽培基礎研修を組み合わせることで、就農3年で10a6tの収量が得られるイチゴ就農者の育成を進めています。