【第174回】工学部第2回卒業生の思い

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投稿者: 大杉 初夫(昭和29年 工学部電気工学科卒)


戦後に焼跡から高射砲連隊跡地に浜松工専が移動し、4年後の新制大学になった時に我々は入学しましたから、今思えば惨めな建物の中での勉強でした。しかし当時の私達には戦争時代を過ごした貧苦に対する耐久力がありました。また工専からの教師・学友との人間的なつながりが強かったのです。今の若者の皆さんは如何でしようか?テレビ等で拝見する範囲ではとてもそうとは思えません。

我々卒業生の中からは多くの日本の工業を担う人材が出ました。例えば現在のホンダの基を作った二人。三代目社長「久米是志」君と専務の「原田隆夫」君です。久米君は苦しい生活環境に耐えて黙々と仕事に没頭、その誰にも負けない気骨と能力を「本田宗一郎」に見いだされ、自動車エンジン開発で世界にホンダの名を高めたのです。原田君は工学部3年の時学校に技術相談に見えた「宗一郎」に見出され、「暇があったら俺の所へ来い」と誘われて学校時代から奨学特待生でした。卒業後ホンダに入社。宗一郎の厳しい指示にも耐えて工場管理を行い、後には本田宗一郎の「代理人」になったのです。

本田宗一郎の後のホンダの舵取りはこの硬軟含めた二人に任され、現在に続く基礎がしっかりと固められました。私達は彼等と同期であった事を誇りに思っています。

私達の集まりは27年前の平成8年5月24日から東京で始まり、それから毎月300回以上も続けてまいりました。途中コロナで24回の集まりが無くなりましたが、現在も再開して毎月集まっています。会員は今91歳以上ですが、まだ続けるつもりです。

この会での話題は、会員の動向・健康状況であり、集まりの性格上学校の現状に及びます。東京にあっての静岡大学の一般的評価は我々当時より下がっているように思えてなりません。学校の内容の実態は分かりませんが、卒業生含めて校名のレベルアップに努めて頂きたいのです。有名教授のテレビ出演、世間を驚かす研究発表、卒業生の社会での活躍等色々あると思います。これから先は若い皆さんにはこの事を特にお願いする次第です。