実験目的
池の水に含まれる銅イオン(Cu²⁺)の濃度を、分光光度計とネオクプロイン試薬を用いて定量し、水質の金属汚染の有無を調査する。
使用器具・試薬
| 試薬・器具名 | 濃度・仕様 | 添加量(目安) |
| ネオクプロイン溶液 | 約3.75 × 10⁻³ mol/L(0.815 g/1000 mL、エタノール) | 2.0 mL |
| アスコルビン酸溶液 | 0.1 mol/L(還元剤) | 1.0 mL |
| 酢酸緩衝液 | pH 5.9(例:0.1 mol/L 酢酸ナトリウム+酢酸) | 2.0 mL |
| 銅標準溶液 | 1.0 ppm(Cu²⁺) | 10.0 mL(希釈して使用) |
| 試料水(池の水) | ろ過済み | 10〜50 mL |
| 分光光度計 | 波長:453 nm | – |
| その他器具 | メスフラスコ、ピペット、試験管、キュベット、ろ紙など | – |
実験方法(手順)
- 試料水をろ過して懸濁物を除去する。
- 試料10〜50 mLを試験管に取り、アスコルビン酸溶液0 mLを加えてCu²⁺をCu⁺に還元する。
- 酢酸緩衝液0 mLを加えてpHを約5.9に調整する。
- 1 M 酢酸水溶液8 mL 、1 M 酢酸ナトリウム水溶液 93.2 mL を1Lメスフラスコに入れる。
- 精製水を加えて全量を1 Lにする。
- よく混合し、pHメーターでpHを確認する。
- 必要に応じて、**酢酸(pHを下げる)または酢酸ナトリウム(pHを上げる)**で微調整。Cu⁺との錯形成に最適なpH範囲は5〜6.0。
- ネオクプロイン溶液0 mLを加えてよく混合し、室温で20分間反応させる。
- キュベットに移し、分光光度計で453 nmの吸光度を測定する。
- 銅標準溶液を用いて標準曲線を作成し、試料の濃度を求める。
結果
・吸光度の測定値(試料・標準溶液)
・標準曲線(濃度 vs 吸光度)
・試料中の銅濃度(ppm)
考察
・得られた銅濃度の環境的意義
・他の金属イオンの影響の可能性
・測定誤差や改善点
・今後の調査への展望
安全上の注意事項
・ネオクプロインは有機溶媒に溶かして使用するため、換気の良い場所で作業すること。
・アスコルビン酸や酢酸緩衝液は皮膚や目に入らないように注意し、保護メガネと手袋を着用すること。
・分光光度計の使用時は、キュベットを清潔に保ち、指紋や汚れを避けること。
・廃液は適切に分別し、学校の指導に従って処理すること。
・実験中は火気厳禁。有機溶媒の引火性に注意。
8. 銅標準溶液の調整方法
目的:分光光度法による銅濃度測定において、正確な定量のために既知濃度の銅標準溶液を調製し、標準曲線の作成に使用する。
必要な試薬・器具:
・硫酸銅(II)五水和物(CuSO₄·5H₂O)
・蒸留水
・メスフラスコ(100 mLまたは500 mL)
・分析用天秤
・ピペット、ビーカー、ガラス棒
調製手順(1 ppm 銅標準溶液)
- 硫酸銅(II)五水和物の分子量は約68 g/mol。銅の原子量は63.55 g/mol。
- 1 mgの銅を得るには、約93 mgの硫酸銅(II)五水和物が必要。
- 硫酸銅(II)五水和物を約93 mg 精密に秤量し、ビーカーに入れて少量の蒸留水で完全に溶かす。
- 溶液を1000 mLメスフラスコに移し、蒸留水で正確に1000 mLに定容する。
- 標準溶液は遮光容器に入れて冷暗所で保存。長期保存する場合は、防腐剤(例:1%硝酸)を加えることもある。
注意点:
・硫酸銅は吸湿性があるため、秤量は迅速に行うこと。
・溶液調製後は、ラベルに濃度・日付・調製者名を記入する。
・標準溶液は定期的に濃度確認を行うとより信頼性が高まる。