桜石と菫青石三連双晶
桜石は桜の花のように見えるきれいな石で、六角柱状の菫青石三連双晶が外形を残したまま雲母や緑泥石に変質することで誕生します。
菫青石は直方晶系(斜方晶系)の結晶であり本来は六角柱状の結晶とはならないのですが、菫青石の高温相であり六方晶系のインド石が核形成や結晶成長にかかわることで六角柱状の菫青石三連双晶になります。
菫青石三連双晶の結晶方位はインド石の方位に依存しており、共通のc軸を持つ3つ60°回転した関係になっています。
菫青石の結晶構造は六方晶系のインド石と類似しており、菫青石を60°回転した結晶構造は元の構造と比較してSiやSlが少し入れ替わるだけでほとんど同じ構造です。
そのため、電子線回折で菫青石三連双晶の方位の差を見分けるのは困難です。
ここでは、角度分解能、解析速度、高感度をほこるOxford instrumentsのSymmetry S2を用いると、菫青石三連双晶に対してどのぐらいの像が得られるのかを検証します。
菫青石三連双晶のEBSDパターン
こちらを見てください
EBSDパターン像を肉眼で確認する限り、菫青石三連双晶のEBSDパターンの違いを見出すのは困難です。
菫青石三連双晶のEBSDマッピングの結果
こちらを見てください。
多少はミスオリエンテーションしていますが、大雑把な傾向としては正しい方向として解析できています。
EBSDマッピングの結果
せっかくなので、偏光顕微鏡写真とEBSDマッピングを並べておきます。