WDXは分光結晶による回折を利用して、特性X線の種類を同定したりその強度を検出したりします。
ここでは、ディオプサイド(CaMgSi2O6)を用いて
・ WDXではどのようにピークが見えるのか?
・ EDXのスペクトルとどのような関係にあるのか?
などを紹介していきます。
試料、分光結晶、検出器の関係やWDXの横軸(L値)についてはこちらを参考にしてください
WDXのスペクトル
以下の条件の時のCh1~4のX線スペクトルを示します。
・ 分析試料 ディオプサイド(CaMgSi2O6)
・ 加速電圧 15kV~3kV
・ 照射電流 50nA
ちなみにCh3とCh4のL値についてですが、Ch1やCh2と対応するように(同じ特性X線が同じLの値になるように)しているようです。
※ Ch3とCh4は、上図のL’に1.4をかけた値をLとしているのだと思います。
・ 各特性X線のラベルの上の数字はエネルギー(keV)
・ 色付きの2nd, 3rdとされたラベルは、それぞれ n =2, n =3 の時のピーク(それ以外は n = 1)
・ 各分光結晶のスペクトルにおいて、L値が小さいほうが感度が高く(強度が稼ぎやすい)、L値が大きいほうがエネルギー分解能が高い
・ Rの大きいCh1やCh2のほうがエネルギー分解能が高く、Rの小さいCh3やCh4のほうが感度が高い(強度が稼ぎやすい)
L値とkeV
L(mm)とE(keV)は下記の式のように反比例の関係です(Lが大きいほどkeVは小さい)
LE = 1.24nR/d ・・・ ⑤
(この式についてはこちらを参考にしてください)
横軸をEとして、Ch1からCh4までのスペクトルを並べたものが、下図です。
また、それぞれのチャンネルと分光結晶で測定できるエネルギー領域もしめします。
WDXとEDXの比較
横軸をエネルギーとして、WDXスペクトルとEDXスペクトルを並べたのが下図になります。
・ 本学の機器でWDXとEDXを比較したとき、WDXのほうがエネルギー分解能が高い
・ WDXにはEDXにはないピーク(n = 2, 3)が検出されることがある。
・ EDXにもWDXにはないピーク(DTが大きいときのsumピークなど)が検出されることがある。