研究紹介 / Research Introduction
高度情報化社会,マイクロエレクトロニクスの発展により,ちまたには数多くの情報機器があふれ,その使われ方も複雑化,高度化してきています.当研究室では,多種多様なモノの自然な連携(IoT: Internet of Things)や,仮想世界と物理世界の自然な調和(CPS: Cyber Physical System)を実現する通信技術や情報処理技術の創製,開発を基盤とした知的IoTシステムやマルチモーダルAI/IoTに関するテーマを研究しています.
特に有線/無線通信を駆使して世の中のいたるところに無線センサ/アクチュエータノードを設置し,情報の発見だけでなく,高信頼な知的無線制御の実現を目指す研究や,多種多様な複雑な要素からなる現象の膨大な時系列データ(Time-series data)から,統計分析や人工知能(AI: Artificial Intelligence)を駆使して状況・状態推定や将来予測を行う研究など,人とコンピュータが協働する新時代の情報化社会を発展,支えるようなライフイノベーションを目指して研究開発を進めています.
- 最近の研究テーマ(Recent research interests)
- 例えば,コンシューマ向けデバイスやシステム向けに発展してきたIoTやAI,ロボット等の先端技術を含めた情報科学の知見を農業分野に適用することで,熟練農家の持つ暗黙知である「匠の技(植物の顔色をうかがった灌水制御)」を機械的に実現する農業IoTとAIについて研究を行っています.多岐に渡る栽培条件の中で,高品質な作物を安定して計画的に栽培するためにIoTや統計解析,機械学習や最新の深層学習技術を駆使して,人の感覚をさらに洗練させ農作業の負担を軽減させるAgri-CPHS (Cyber Physical Human System) の研究開発を進めています.特に生育期間における動画や環境データといった表現力の異なるマルチモーダルな時系列データの分析や機械学習を容易に行えるような基盤技術の創成を目指しています.農学分野の実データ(不均衡な時系列マルチモーダルデータ)を用いることで得られる知見は,情報科学分野の発展に寄与するところも大きいと実感しています.持続可能なスマート一次産業実現に向けまだまだ課題が山積なのですが,学生らとともに実学には分野の垣根がないことを実感しつつ,情報学研究者が革新的な研究成果を創出し活躍できる可能性を模索していきたいと思います.
- また,農業や漁業といった一次産業の現場では,依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く,省力化や負担軽減が重要な課題です.省力化や生産性向上を図るスマート生産技術の普及が期待されますが,専門ドメイン向けのAIシステム構築では,栽培条件や地域性・季節性などの組合せが多岐に渡るだけでなく,教師データ付きの画像データセット収集やプライバシやノウハウ流出への懸念,膨大な観測データに対するアノテーションに多大な期間や労力を要するといった課題があります.さらに,アノテーションには主観といった不確定要因の影響もあり,修練に必要な十分かつ定義明確な教師データの準備はとても困難なものでした.そこで本研究室では,農業現場における特化型AIタスクへの適用を通じて,実マルチモーダル時系列データからドメインシフトの本質的な要因を分析するホロニックデータ流通基盤を構築し,リアリティと多様性を担保する画像生成AIの修練によって時空間生成データ拡張(SpatioTemporal Generative Data Augmentation: ST-GDA)の研究開発を進めております.特に,生成データ拡張(Generative Data Augmentation: GDA)を用いた継続学習で生じやすいモデル崩壊条件の解明によって,高性能なモデル構築に必要な多様なデータセットを少ないリソースで構築可能とし,環境負荷軽減の両立も実現したいと考えております.
- これらDX研究開発で得られる知見や経験は,多岐に渡る分野での応用に繋がっていきます.ご興味を持った方はお気軽にご連絡ください.
- <技術相談の多い関連分野(Keywords)>
- Mutimodal AI/IoT, SpatioTemporal Generative Data Augmentation (ST-GDA), Smart Agricultural System, Agri-CPHS (Cyber Physical Human System), Multimodal Time-series Data Analysis, Fine-Grained Image Analysis (FGIA), Deep Imbalanced Regression (DIR), etc.
- その他の研究テーマ(Other research interests)
- 2023年度
- Dynamic Resource Control in Optical Access Networks for Diverse Applications (社D3 小崎 成治)
- Research on System Architecture and Traffic Control for Lightweight IoT Communications (社D3 横谷 温子)
- FixMatchベースの半教師あり学習を用いたCSIによる人間行動認識手法の研究(M2 寺本 京祐)
- Pix2Pixモデルを用いた農作物生成画像のクロスドメイン適応手法(M2 平原 健太郎)
- 拡散モデルを用いた画像データ拡張によるメロン等級判定の研究(B4 海老沢 源)
- Multi Point Trackingに基づく植物応答による自動灌水制御の研究(B4 大沼 理巧)
- NexmonによるCSIを用いたスマートデバイス状態推定に関する研究(B4 原田 海斗)
- 合成画像を入力としたPix2Pixモデルによるセグメンテーション画像拡張の研究(B4 中根 睦仁)
- 2022年度
- Towards Reliable Plant Phenotyping with Deep Learning and Remote Sensing (D3 Umme Fawzia Rahim)
- 時系列センサデータを用いた 給液量推定モデル生成プロセスの研究(社M2 金田 千広)
- 温室内自律走行車両向け自動充電機能の研究(ABP-B4 Nguyen Dao)
- フォトグラメトリを用いた農作物の体積推定手法の研究(B4 小野坂 捺)
- 栽培データの不均衡性・時系列性を考慮した植物生理状態推定手法の研究(B4 佐藤 弘毅)
- 遅延相関を考慮した低段密植養液栽培トマト向け灌水制御の研究(B4 足立 量)
- 時系列データを用いた農産物状態推定手法の研究(B4 島田 拓人)
- 2021年度
- Research on Sub-1 GHz Frequency Band Wireless Coexistence for the Internet of Things (社D3 永井 幸政)
- 栽培データの分布不均衡性を考慮した植物整理状態推定の研究(M2 藤波 一輝)
- 温室内を周期的に自律走行する成長記録システムの研究(B4 伴 元輝)
- Wi-Fiチャネル状態情報を用いた日常行動推定の研究(B4 寺本 京祐)
- 画像処理と機械学習を用いた農産物の品質評価の研究(B4 平原 健太郎)
- 2020年度
- 車載センサデータの特徴を利用した動機手法に関する研究(社D3 石渡 要介)
- ユーザの状況および特性に基づく行動変容に関する研究(社D3 市川 裕介)
- LPWAへ暗号技術を適用したセキュア農業IoTシステムの研究(M2 内山 仁)
- Optical Flowを用いて植物のしおれを考慮した自動潅水制御の研究(M2 後藤 将弥)
- A study on water stress estimation by using attention with time-series clustering(M2 中西 豪太)
- A study on Data Augmentation Method for Strawberry Flower Detection in Non-structured Environment Using Convolutional Object Detection Networks (ABP-M2 Umme Fawzia Rahim)
- IoTによる農作業者の「安全見守り」モデルの研究(社M2 高田 光宣)
- ユーザの関心を惹くニュースの定量化に関する研究(社M2 豊田 容平)
- 動画認識技術を用いたCSI自動正解ラベリングによる行動認識(B4 石坂 拓海)
- 動画による正解ラベルを用いたCSIベース行動認識の検討(B4 田中 悠貴)
- ハウス内の様々な入出力機能に対応可能な環境制御システムの提案(B4 登内 啓悟)
- 2019年度
- 組込みクラウドコンピューティングシステムの研究(社D3 古都 哲生)
- 深層強化学習を用いたRANスライスへのリソース割当手法の研究(M2 安孫子 悠)
- データ特性を考慮した植物栽培支援モデルに関する研究(M2 水野 涼介)
- スマートスピーカーをUIとしたIoTシステムの研究(M2 北島 啓太郎)
- 施設園芸環境向け無線センサノードに関する研究(社M2 小野田 晃久)
- Daily Solar Forecasting using SW-SVR for Hybrid PV Power Plant in Indonesia (ABP-M2 Prasetyo Aji)
- 非線形回帰モデルを用いた灌水タイミング決定手法の研究(B4 坪井 祐磨)
- 植物の着果周期特性を考慮した機械学習による収量予測の研究(B4 藤浪 一輝)
- 2018年度
- フランチャイズ店舗向け電力ディスアグリゲーション方式の研究(社D3 尾崎 友哉)
- FAシステムにおけるCNCの分散処理およびリアルタイム処理に関する研究(社D3 山下 昭裕)
- 観光スポット活性化に向けた記念撮影IoTシステムの研究(M2 恩田 康平)
- A study on delay tolerance based mobile data offloading using deep reinforcement learning(M2 望月 大輔)
- A study on multi-modal neural network with clustering-based drop for estimating plant water stress(M2 若森 和昌)
- A study on Outlier detection in sensor data using Minimum Spanning Tree based clustering (ABP-M2 Md. Atiqul Haque)
- コンテンツ情報と通信環境を考慮したIoT向け優先度制御通信の実装と評価(B4 内山 仁)
- 植物状態に自立順応する灌水タイミング決定手法の検討(B4 後藤 将弥)
- 時間情報を考慮した収穫時品質予測手法の検討(B4 中西 豪太)
- など
- 2023年度