目次
ねらい
企業の将来を担うキーパソンを育成するために、起業を目指す学生と、社会人のための大学院として設立されました。企業経験のない学生にも門戸は開かれております。コースの目標は、技術開発の事業化、あるいは企業内の技術経営的課題の解決を研究テーマとして、極力業務を離れることのないように、夜間や週末の講義、インターネットを利用したe-ラーニングシステム、遠隔地テレビ会議システムなどを導入し、研究材料には、実務事例やケーススタディーなどを用いて実際的な研究を可能とする場を提供いたします。
大学院の中の位置づけ
正式名称は、静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻事業開発マネジメントコースというとても長い名前の大学院です。
平成18年(2006年)、静岡大学大学院工学研究科事業開発マネジメント専攻としてスタートしました。平成27年(2015年)、大学院の再編に伴い、上記の名前に変更となりました。社会人のための学びの場として作られた大学院です。本学の持つ経営工学的思考能力や学問的基盤と、浜松地域のものづくり能力とを連携させることを狙いとして設立されました。カリキュラムの中心となる考え方は技術経営(Management of Technology)です。それゆえ、本コースはMOTの通称で呼ばれることが多いです。
特徴
どんな学生が来るか
MOTに来る学生は多様性に富んでいます。下の図は、2022年までの修了生・在校生の内訳です。半分以上は社会人学生ですが、学部出身も約2割、そして留学生も約2割います。また彼らの来る目的も様々です。MOTに来る学生は、主に以下の3つのグループに入る人が多いようです。
第1は、仕事を始めてから5年~10年くらいのいわゆる中堅といわれる社会人です。こういった方々は、仕事の中で出会った様々な課題について研究しようという動機で入ってこられるようです。第2のグループは、定年後、あるいは定年間近で勉強してみようという方々です。こういった方々は、これまでの仕事の総括、あるいはこれまでの経験をもとに新たな事業の開発を検討してみようという方が多いです。そして第3のグループは、学部出身・専門学校出身と留学生です。彼らは起業志向が強く、自分が今持っている技術・知識を社会にどう活かせるかというテーマで研究をスタートさせようという事が多いです。
また居住地も様々です。後述するように、MOTではリモート講義とオンデマンド動画による講義を活用しています。そのため浜松から遠く離れた土地から受講することも可能です。下の図は過去に在籍した学生の居住地を示しています。実際、過去の受講生は、北は北海道から南は小笠原諸島(東京都)、西は福岡県まで全国に散らばっておりました。
どんな教員がいるか
現在の教員構成は下表のとおりです。〇は専任教員。それ以外の方は兼担教員です。
教 員 |
研究内容 |
〇小杉 素子 M. Kosugi |
社会心理学,リスクコミュニケーション Social psychology, risk communication |
酒井 克彦 K. Sakai |
先端技術レビュー,機械加工 Review of high technology, machining |
〇鈴木 康之 Y. Suzuki |
地域イノベーション,プロジェクトマネジメント,技術経営 Regional innovation, project management, MOT |
立蔵 洋介 Y. Tatekura |
統計的情報処理 Statistical information processing |
永田 正樹 M. Nagata |
情報システム,分散処理 Information systems, distributed processing |
長谷川 孝博 T. Hasegawa |
情報セキュリティ Information security |
〇前田 恭伸 Y. Maeda |
リスクアナリシス,環境マネジメント Risk analysis, environmental management |
詳しくは教員紹介をご覧ください。
このほかに多くの客員教員が居ます。
どんな勉強をしているか
MOTでは、社会人が受講しやすいように、下表の様に基本的に講義は夜間と土日に開講しています。
修士の2年間に30単位を履修してもらいます。このうち12単位は必修科目で、これは2年間をかけて研究成果を出すことが単位になります。残りは研究科共通科目4単位と専門科目14単位。これらはそれぞれ2科目と7科目の講義に相当します。ですから学生の皆さんには2年間を通して、研究のほかに少なくとも9科目の講義を受講してもらうことになります。だいたい1学期あたり2~3科目の講義を受けてもらいます。
MOTの専門科目には、下表のような講義があります。
区分 | 授業科目名 | コース必修 単位数 |
コース選択 単位数 |
|
コース 必修科目 | 特定課題研究Ⅰ | 4 | ||
特定課題研究Ⅱ | 4 | |||
特定課題研究Ⅲ | 4 | |||
コース選択科目 | コア専門科目 | マーケティング入門 | 2 | |
ものづくり戦略論 | 2 | |||
データ分析及び演習 | 2 | |||
財務戦略論 | 2 | |||
一般専門科目 | プロジェクトマネジメント | 2 | ||
知財戦略論 | 2 | |||
リスクマネジメント論Ⅰ | 2 | |||
リスクマネジメント論Ⅱ | 2 | |||
マネジメント特論Ⅰ | 2 | |||
マネジメント特論Ⅱ | 2 | |||
マネジメント特論Ⅲ | 2 | |||
社会調査及び多変量解析入門 | 2 | |||
アントレプレナーシップ | 2 | |||
地域イノベーション | 2 | |||
先端技術レビュー | 2 | |||
OR及び演習 | 2 | |||
Technical Writing & Presentation | 2 | |||
数理計画特論 | 2 | |||
Advanced Mathematics for Engineers | 2 | |||
Advanced Physics for Engineers | 2 | |||
Advanced Chemistry for Engineers | 2 |
これらの詳しい内容と共通科目については、シラバスを参照してください。
開講年度を指定して、タイトル「総合研工学専攻[EN-M]」 >フォルダ「事業開発マネジメント/MOT」 >「検索」ボタンをクリックしてください。当コースの科目が表示されます。参照したい科目をクリックするとシラバスが表示されます。
どんな研究をしているか
過去の特定課題研究一覧については、こちらをご覧ください。
過去の特定課題研究
また、各教員の研究内容については、教員紹介のページをご覧ください。
教員紹介
「どんな学生が来るか」に書いたように、MOTでの研究には下記のようなものが含まれます。
- 仕事の中で出会った課題についての研究
- これまでの経験をもとにした新たな事業の開発
- 起業
そうすると、これらの内容は通常の修士論文の枠を超えるものも含まれます。そこで、本コースでの研究は通常の修士論文ではなく、特定課題研究という形でまとめられます。
修士論文と特定課題研究の違いについては、下記をご参照ください。
工学専攻 教育の質保証ガイドライン
リモートと動画の活用
静岡大学の学生には、在学中Microsoft 365のアカウントが付与されます。これを利用して、MOTではMicrosoft Teamsを利用した遠隔授業、Microsoft Streamを使ったオンデマンド授業を活用しています。そのため、浜松から離れた場所に住んだまま受講したり、急な出張の際に出張先から授業に参加することが可能です。
口述試験による入試
5年以上の業務経験のある社会人は、口述試験を受けていただくことが入学試験になります。「ねらい」に書いたように、ここに入学する社会人は、技術開発の事業化、あるいは企業内の技術経営的課題の解決を目指していると想定されています。そこで、「MOTに入学してどういう研究をしたいのか」という事についてプレゼンテーションを行ってもらい、それについて質疑応答を行うことで、入学試験としています。
それ以外の受験生には、口述試験とともに筆記試験も受けてもらいます。筆記試験は事業開発マネジメントについての論述問題です。コースの講義を受けるために必要な知識について出題します。
資格審査制度
資格審査制度とは、高校卒、短大卒でも学部卒と同等の学力があると認められる者には受験資格を与える制度です。5年以上の業務経験のある者が資格審査を申請した場合、出願前に面談形式の事前審査を受けていただき、その審査に通った者には受験資格を与えています。これまで(2022年度までに)23名の社会人学生がこの制度を利用して入学してきました。
長期履修制度
社会人の中には、勉強したくても、忙しくて時間が取れないという方も少なくありません。特に業務上の様々な課題に出会う中堅の社員であれば尚更です。そういう方のために長期履修制度を用意しています。あらかじめ申請することによって、2年の学費で最長4年間まで修士課程に在籍できる制度です。
まとめ
以下の表に、本コースの概要をまとめてみました。
教育機関名 | 静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻事業開発マネジメントコース |
学位名称 | 修士(工学) |
所在地 | 静岡大学 浜松キャンパス:静岡県浜松市中区城北3-5-1 |
育成する人物像 | 新しい事業創造や価値観の創造、さらに地域価値向上の活動にご活躍出来る人材(財) 自ら課題を見つけ、その課題に果敢に立ち向かう気概のある人材 例えば、起業家、企業改革を企画実行する人材、中小の第二創業を狙う人材 |
受講対象 | 原則 社会人(大卒、留学生も可) |
定員 | 8名 |
受講期間区分 | 原則2年 最長4年(長期履修制度) |
受講時間・回数 | 30単位 (約9科目履修×2単位(90分×16回)、研究課題 12単位) |
受講時間帯 | 平日夜間 土・日・祝日 |
選抜方法 | 「口述試験、出願書類の審査結果」と「筆記試験の結果」をそれぞれ独立に合否判定し、両方の合格者を最終的な合格者とします。 本コースで学習・研究を行うために必要な能力、学力、適正などを試験において総合的に判断します。出願した研究テーマが適切であるか、研究に対する基礎学力と能力があるかを総合的に評価。 |
プログラムの特徴 | 文部科学省 職業実践力育成プログラム(BP)の認定を受けています |