サクラエビの生態

サクラエビの一生は約15か月と言われています*1
サクラエビの産卵は5月下旬から始まり、11月下旬まで続きます。主産卵場は富士川河口沖と焼津沖で*2,3、産卵期間中、メスは交尾と脱皮を7~8回以上繰り返して成長します。メスは一度に1,700~2,300個の卵を産卵し*1、1個体が産卵期間に生み出す総卵数は約18,000粒とされています。卵は約1日半で孵化して、体長約0.32mmのノープリウス幼生になります。幼生期の発育は早く、脱皮しながらノープリウス4期、プロトゾエア(エラフォカリス)3期、ゾエア(アカントソーマ)2期を経て、約1ヵ月後には体長7.5mm位の稚エビになります*4,5。その後、脱皮間隔は次第に長くなり、ふ化後3-4ヵ月で体長20mmに成長します。
サクラエビの卵やノープリウス幼生は駿河湾の中央~奥部に多く分布し、エラフォカリス、アカントソーマ期の幼生は駿河湾内外に分布しています。*6

産卵を開始するのは体長35mm以上になってからと言われており(要出典)、この成長過程に影響を及ぼす重要な因子は適切な水温と餌であるプランクトンの出現です。サクラエビの孵化および幼生の成長の最適水温は23°C~26°Cと言われています*1。ノープリウス4期からエラフォカリス期までは植物プランクトン(主として珪藻)を餌として捕食していますが、成長に伴って餌の切り替えが起こり、アカントソーマ2期では植物だけでなく動物プランクトンも餌として捕食するようになります*1。この時、十分な餌がなければ、高い致死率を示します。駿河湾の植物プランクトンの増殖時期は3月~5月の春季と9月~11月上旬までの秋季の2回で*7、春のプランクトンの生産量は秋に比べて3~4倍程度高く、珪藻が主な種です*7。サクラエビの産卵時期の前にプランクトンの増殖が起これば、その後サクラエビは順調に成長することが期待されます。

次はサクラエビが成長できない問題についてお話します。

 

【参考文献】