Research

“Organic Chemistry-Driven Drug Discovery (有機化学が先導する創薬研究)”

鳴海研究室では、創薬を目指した生理活性分子や機能性分子の創製研究を中心に、有機合成における新たな方法論の開拓や創薬を指向した実用的反応の開発、そしてこれらを基盤としたケミカルバイオロジー研究を展開しています。「自分でデザインした有機分子を自分の手で合成し、人類の健康と福祉に有機化学で貢献する」――私達の挑戦は続きます。

 

現在進行中の研究課題:

  1. 等価性(isosterism)に着目した機能性分子の創製研究
  2. HIV細胞侵入過程を標的とした創薬研究
  3. 新規アゾリウム塩の創製と有機分子触媒としての応用研究
  4. 秘密の創薬研究

1.等価性(isosterism)に着目した機能性分子の創製研究

 

「”似てるけど違う”有機分子を作り、生命現象を科学する」

医薬品を開発するには、生命現象を理解し、制御する必要があります。たくさんの化学素反応からなる生命現象を原子・分子レベルで解析することができれば、 新薬開発の重要なきっかけになります。

これまでに私達は、生体構成分子の普遍的な共通構造であるアミド結合に着目し、その特性を生かした有機分子をデザインし、新たな機能性分子の創製研究を進めて来ました。特に、ノーベル賞研究者でもあるLangmuir教授によって提唱された”Isosterism (等価性)”という概念を基礎に置いて、有機分子にわずかに変化(化学修飾)を加えることで、新しい機能を付与したり、その機能を飛躍的に向上させる「イソスター研究」を精力的に進めています。電子的等価性から構造的等価性、そして生物学的等価性、イソスター研究のさらなる進化を目指します。

research01

2.HIV細胞侵入過程を標的とした創薬研究

HIV細胞侵入を有機分子で理解し、コントロールする」

後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)が免疫細胞に感染することで、後天的に免疫不全を起こす難治性疾患の一つで、完全に治る治療法は確立されていません。現在、複数の抗HIV薬を組み合わせる対処療法が行われていますが、長期投与による毒性の軽減や耐性ウィルス抑制の観点から、新規治療薬が求められています。

これまでに私達は、厚生労働省エイズ対策研究事業に参画し、共同研究者らとともに、新たなHIV侵入阻害剤を複数創製し、臨床応用に向けた基礎研究を世界に先駆けて進めて来ました。最近では、微量で強力な生理活性を示すペプチドに着目し、UM-25IC9564をはじめとするペプチド性化合物を基盤とした新たなHIV侵入阻害剤の創製研究をはじめています。これら化合物を医薬品につなげるためには、HIVの易変異性に対応する機能を付与する必要があり、従来とは異なる独創的な分子設計を可能にするアプローチを進めています。

research02

3.新規アゾリウム塩の創製と有機分子触媒としての応用研究

「生体内相互作用を有機分子で再現し、ものづくりへ応用する」

医薬品となる有機分子は、水素結合やイオン性相互作用など様々な生体内相互作用により生理活性を発現します。つまり、より効果的に相互作用させることができれば、さらに強力な医薬品の創製が期待できます。そこで、生体内相互作用を有機化学的に理解するために、新たな触媒として注目を集める有機分子触媒に着目しました。

これまでに私達は、生体内のエネルギー源であるATPの生合成に関わるビタミンB1のアゾリウムカルベンを応用したNHC触媒の開発研究を行い、その構造活性相関を明らかにし、触媒活性を大幅に向上させることに成功しています。さらに、触媒前駆体であるアゾリウム塩そのものに触媒機能があることを見出し、その触媒機能がカチオン-π相互作用にもとづくものであることを理論計算により明らかにしました。現在は、これら触媒を進化させた多機能性アゾリウム塩の創製研究に加え、創薬を指向した新たな分子変換について研究を進めています。

research03

4.秘密の創薬研究

「こんなことができたらいいな」

医薬品や機能性材料などの有用物質は合成化学の発展とともに多様化し、私達の生活を豊かにしてくれています。ただし、デザインした有機分子を自在に作れる効率的合成法は、実は限られています。

そこで私達は、既成概念にとらわれない新たな合成法や、高効率な分子変換を可能にする反応開発に挑戦します!こんなハイリスクな研究を、溢れ出る想像力と創造力をもとに一緒にやってくれる高い志を持った学生を求めています!

research04