概 要
2自由度制御形ベアリングレスモータにおいて,回転子の軸方向(z)・傾き方向(θx-θy)の3自由度は,受動的に支持されるため,能動制御方向(x-y)と比較して減衰が小さく,共振が顕著に表れる。磁気浮上系の非制御方向の制振方法として,変位および速度に応じて復元力を調整し,減衰性能を向上させる方法が提案されているが,非制御方向変位・速度の検出が必要となる。また,回転子浮上位置を変更し,非制御方向剛性を変えることで共振周波数を移動させる方法も提案されている。本研究では,BelMのd軸電流による非制御方向剛性の変動を利用する簡便な共振回避方法を提案する。
提案する共振回避方法
図に本研究で使用するコンシクエントポール形ベアリングレスモータの構造を示す。回転子は扁平形状で,8極コンシクエントポール構造である。固定子には,三相2極支持巻線と三相8極電動機巻線が施されている。回転子の半径方向(x-y)は能動的に制御される一方,軸方向(z)と傾き方向(θx-θy)方向は,回転子と固定子間の磁気的結合により受動的に支持される。このBelMにおいて,d軸電流を流すと,回転子の支持剛性が変化し,非制御方向である軸方向の共振周波数が変化する。本研究では,回転数に応じてd軸電流を調整し,回転子の非制御方向の剛性を変動させることで共振を回避する方法を提案する。