オオヒキガエル

分類:脊椎動物門両生綱無尾目ヒキガエル科ヒキガエル属
学名:Bufo marinus
英名:marine toad, cane toad

オオヒキガエルは、中南米原産のヒキガエル(成体の体長:10~15cm)で、「オオヒキガエル」という和名にもかかわらず日本古来のヒキガエルに比べて特に大きいわけではありません。環境の変化に強く、何でも食べるため生物農薬として世界中に移入され、今ではアメリカ合衆国テキサス州南部から南アメリカ北部、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、台湾などに生息します。日本でも、小笠原諸島や石垣島などでサトウキビ畑の害虫を駆除する目的で移入されました。しかし、貪欲で動くものなら何でも食べてしまうことから、希少小動物の捕食などによる生態系への影響が懸念されています。また、強力な毒をもっており、このカエルを捕食した生き物への影響も危惧されています。こうしたことから、2005年6月より特定外来生物種に指定され、輸入・移動・飼育が厳しく規制されるようになりました。

このように一般的には嫌われがちなオオヒキガエルですが、実験生物としては優秀な種です。環境の変化に強く、河口など汽水域(淡水と海水が混じっている地域)でも生育できるという特徴を持っています。また、飼育が容易で動くものなら何でも食べてくれるため餌やりにも困りません。特定外来生物ですが、正式な手続きさえすれば取り扱えるため、当研究室では現在も大活躍中です。

カエルの仲間は、口から水を飲まず、腹部の皮膚から水を吸収することが知られています。ヒキガエルは、濡れた地面を見つけると、まず骨盤付近の腹部皮膚を地面に押しつける姿勢「seat patch down(SPD)」をとり、次に腹部皮膚全体を地面に押しつける姿勢「water absorption response(WR)」で吸水しはじめます。最近の研究から、ヒキガエルはこのSPDの時に「塩味」を感じて吸水を停止するらしいことがわかりました。しかし、他の味(甘味・酸味・苦味)についてはあまりよくわかっていません。当研究室では、ヒキガエルが吸水時に塩味・甘味・酸味・苦味を腹部で感じているのか、また、感じているとすれば、どのようなしくみで感じているか、などを行動実験・神経生理実験で調べています。

なお、竹内研究室では、オオヒキガエルの他にニホンヒキガエル、アマガエル、モリアオガエルなどを飼育しています。

左からオオヒキガエル、ニホンヒキガエル、アマガエル、モリアオガエル

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