イネ

学名:Oryza sativa

イネ科の植物で、その収穫物はいうまでもなく米です。米は小麦、トウモロコシと並ぶ世界三大穀物のひとつであり、特に日本人にとってはなくてはならないものです。世界三大穀物をみてわかるように、人類の食糧は主にイネ科の植物によって支えられています。したがって古くからイネ、トウモロコシ、小麦などのイネ科植物は、育種という形で研究されてきました。育種をとおした遺伝学的知見と材料の蓄積に加え、比較的小さなゲノムサイズをもつということから、イネがモデル植物として注目されるようになりました。シロイヌナズナのところで述べましたが、シロイヌナズナは大変便利な実験材料ですが、この植物の研究のみですべての植物の性質を明らかにすることはできません。特に、イネ科植物は単子葉植物であり、双子葉植物であるシロイヌナズナと多くの点で異なっています。
一方、イネ科植物であるイネは、トウモロコシや小麦など他の穀類と大変よく似た性質をもっており、ゲノムの構造も似ている点が多いことがわかってきました。ですから、イネの研究で得られた成果はトウモロコシや小麦など他のイネ科植物にも応用できる可能性が高く、農業的な側面からもイネは非常に重要なモデル植物であるといえます。最近では、イネの形質転換も比較的容易に行えるようになり、また2004年にはイネゲノムの全塩基配列が解読されるなど、イネの研究基盤が充実してきました。

イネとシロイヌナズナ、このように異なる植物を研究することによって、植物の間で共通している、あるいは異なっている性質や遺伝子および遺伝子の機能を明らかにすることができます。こうした植物の遺伝子研究は、私たちにとって役に立つ遺伝子を探し出すとともに、どのようにして様々な植物が進化してきたのか、という謎を解き明かすのに、大きな力になります。

 

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