キンギョ

学名:Carassius auratus

キンギョは観賞魚として長年飼育されてきたためか人になれ易く飼育が容易である。低温条件(15℃前後)、長日処理下(14時間明期)で飼育すれば2-3ヶ月で排卵直前の成熟した卵巣を得ることができる。魚類における卵の減数分裂(卵成熟)の分子機構がこの魚で盛んに研究されたことから、卵成熟促進因子(MPF)の構成因子であるcdc2やサイクリンBなどの遺伝子やそれらの特異抗体などの研究ツールが揃っている。魚類や両生類では卵巣中の卵母細胞を取り出し、試験管内培養により卵成熟過程が再現できることが大きな研究上の長所となっている。キンギョ一匹の卵巣には数千個の成熟卵が含まれることから通常1試験で20個以上の卵を用いる卵成熟の実験が同一個体を用いて50試験は可能である。卵巣も比較的大きいことからタンパク質の分離精製などの生化学的な実験も可能である。同じコイ科のゼブラフィッシュと近縁であり、遺伝子の塩基配列は非常に相同性が高い。このためゼブラフィッシュのデータベースが参照できる。具体的にはTOF-MSによるプロテオミクス解析も可能であるし、cDNAクローニングの際には予想配列の絞り込みに利用できる。

 

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