分類:脊椎動物門鳥綱スズメ目カエデチョウ科キンパラ属
学名:Lonchura striata var.domestica
英名:Bengalese finch
ジュウシマツ(十姉妹)は、全長が12cm程度(てのひらくらい)で、ペットとして非常にポピュラーな小鳥です。江戸時代初期にインドからペットとして輸入されたコシジロキンパラ(Lonchura striata)が、長い年月を経て現代のジュウシマツになったと考えられています。ペット化に伴ってさまざまな品種が作られ、色では並・小斑・白・黒・茶・三毛・チョコレート・ハバナ・シナモン・パールなど、毛並みでは梵天(頭頂部に巻毛)、千代田(胸部に巻毛)、千代田梵天(頭頂部・胸部に巻毛)、中納言(頭頂部・後頚部に巻毛)、大納言(に巻毛)、キング(ほぼ全身が巻毛)などが知られています。
ジュウシマツは、いわゆる「歌」をさえずる鳴禽類(song bird)の一種です。ジュウシマツの鳴き声には、短い「Call(地鳴き)」と複雑で長い「Song(さえずり)」という2種類があります。Callは主にヒナがエサを欲しがるときや敵が来たことを知らせるときなどに、Songは縄張りを誇示するときやメスに求愛するときに発声されます。ジュウシマツでは、雄と雌の外見(形・色・模様など)はほとんど違いません。そのため、彼らは発達した聴覚でSongやCallを聞き分け、相手の雌雄を判断しているようです。
当研究室ではこのジュウシマツの音声を使って、「聴覚的補完」と呼ばれる耳の錯覚の一種を研究しています。たとえば、ある人と会話をしていても、周囲の環境音に被って、会話の一音一句がちゃんと聞こえていないときがあります。しかし、脳というのは優秀で、隠された会話音を埋め合わせて文や単語がさも全て繋がって聞こえているかのように認識してくれます。実際にはないものを補って完成させてくれる、これを「補完」と言います。研究に用いている題材は音なので、これに「聴覚的」とつきます。この聴覚的補完では、ブツブツ途切れて、その途切れた間が「無音」だと脳による補完が行われにくいのに対し、なぜか「他の音(雑音など)」では補完が起こりやすいこともわかっています。
下の図は視覚的補完ですが、これでイメージしやすくなると思います。左の図(a)では穴だらけで何がなんだかわからないのですが・・・・、穴を違うもので覆ってみると右の図(b)のようにアルファベットが見えてきます。
ヒトでは確かに補完が起こりやすい、ということはわかっているものの、他の動物では補完が起こるかどうか、ということはよくわかっていません。私たちは、この聴覚的補完現象が聴覚の発達したジュウシマツでも起こるのではと考え、研究しています。