メダカ

分類:脊椎動物門硬骨魚綱ダツ目メダカ科メダカ属
学名:Oryzias latipes
英名:medaka, Japanese killifish

日本では北海道を除く全域、国外では朝鮮半島と中国(中・南部)、台湾などに分布しています。平野部の池沼、水田、流れのゆるい小川などに群れをなして生息し、主に動物性プランクトンを食べています。雑食性の小型魚(成魚の体長2~4cm)で、飼育が簡単なため、古くから庶民に親しまれてきました。野生のメダカ(クロメダカ)の体色は一般には淡褐色ですが、黄褐色のヒメダカは愛玩用や生き餌として流通しています。クロメダカは、かつては、どこにでもいるごく身近な魚でしたが、近年各地で生息数が減少し、1999年2月発表のレッドリスト、2003年5月発表のレッドデータブックでは絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に指定されました。

魚の鱗(うろこ)や鰭(ひれ)には、色素胞という樹状の突起を持つ細胞があり、色素胞の中にはある黒・赤・黄・白・虹色などの色素顆粒が詰まっています。これらの色素胞や色素顆粒の量と分布が魚の体色や模様を決める重要な因子です。黒色素胞が多いと体色は黒っぽくなりますが、黒色素胞が少なければ白っぽい体色、黒色素胞が少なくて黄色素胞が多ければ明るいオレンジ色や黄色になります。また、背景の色彩や明るさに応じて色素胞内の色素顆粒を凝集させたり拡散させたりすることにより、体の色や模様を変えることもできます。例えば、黒色素胞の中で黒色素顆粒が一様に拡散すると体色は暗くなり、中心部に凝集すると体色が明るくなります。ただし、虹色色素顆粒は他の色素顆粒と違って運動性を持たず、その量的な変化が体色の金属光沢に影響しているようです。

メダカの場合、鱗には黒・黄・白・虹色の色素胞があります。黒色素胞をほとんど持たないヒメダカ(緋目高)は体色が明るいオレンジや黄色で、黒と黄色の色素胞が両方少ないシロメダカ(白目高)やアルビノ(白子)は体色が白く、黒・黄・虹色の色素胞がほとんどない透明メダカはその名の通り体が半透明内臓や脳が透けて見えます。メダカの色素胞は、他の多くの魚と同様に、交感神経節後繊維という神経の支配を受けており、神経終末から放出されたノルアドレナリンが黒色素顆粒の凝集と白色素顆粒の拡散を引き起こして、体色を明るくさせることがわかっています。メダカは、体色の遺伝や神経系による生体調節だけでなく、器官形成や性分化のしくみを研究する上で注目されており、日本が世界に誇るモデル生物のひとつといえます。

竹内研究室では、神経系による生体調節のしくみを理解する目的で、このメダカ鱗における色素顆粒運動制御の実習を3年次に展開しています。

図1 クロメダカ

図2 クロメダカの鱗(黒色素胞と黄色素胞が見える)

 

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