【第1回】歩き旅のすすめ

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投稿者:小林 五郎
(昭和36年 文理学部第9回 経済学科卒)


江戸時代まで、人々は歩いて旅をしました。歩く以外に交通手段がなかったからですが、鉄道網が発達し、とりわけ車社会の到来とともに人は歩くことを見失ってしまったように思います。歩く行為は、健康維持のために特化されてしまった感があります。生活水準も向上し、歩かない上に必要以上に栄養を取りすぎ、運動不足も重なって、人々はいまや「成人病」という見えざる大敵に直面しています。

私はリタイヤしてから歩き旅を続けています。車や乗り物の旅も否定はしませんが、歩き旅に勝るものはありません。地図を頼りに、自分の足を信じて巡る旅を続けています。あの峠を越えたら、岬を越えたら、見知らぬ土地への尽きない興味、大変ですが感動が違います。肌で風を感じ、人情に触れ、時には体力の限界を感じながら続ける旅には人生そのものが重なってきます。

全行程千四百キロの四国遍路を初めとし、大阪府郊外から和歌山市を経て中辺路経由で本宮にいたる熊野古道。京都府の北豊岡市からスタートして鳥取砂丘、米子、境港からフェリーで隠岐の西ノ島へ、出雲大社参拝をへて萩市から下関までの700キロ。今回、東日本大震災で大きく被災した地域、仙台市から石巻市,女川町、南三陸町、気仙沼までの180キロなどで、この十年間でおよそ2,600キロを歩きました。

日常生活でも車は殆ど使用しません。駅のエスカレーターやビルのエレベーターは使用せず階段を駆け上ります。現役の頃は30分早く出社し、毎日千回の縄跳びをしていました。

歩くことは楽しいことです。だから続くのです。それに健康でいられることです。殆ど病気をしたことがありません。今74歳、これからも体力と相談しながら楽しい歩き旅を続けたいと思っています。


【皆様からお寄せいただいたコメントを紹介しています】

同窓生リレーエッセイを拝読しました。

小林五郎さんの「歩き旅のすすめ」に勇気と元気をいただきました。

10年間で2,600キロの歩き旅、そのための日頃からの体力づくり大変勉強になりました。

これからも、健康に留意し楽しい旅を続けてください。そして、日本各地を紹介してください。

昭和48年卒 人文学部第5回 経済学科 鈴木良夫