ブログリレー(土屋麻人 1)

ブログリレー

物理学科・創造理学コース 土屋麻人

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。理学部・理学専攻の学生の皆さんは、当たり前であったものが当たり前でなくなり、現在は戸惑うことが多いことでしょう。私も同様で、早く以前の日常に戻りたいと願う一方で、今は物事をフラットに見つめ直す機会でもあると思うようにしています。これにより、日常にある様々な事の意義や本質が見えてくるように思います。

話は飛躍しますが、他の理学の分野と同じく、物理学はまさに物事をフラットに見て、先入観や偏見を打ち破ることで発展してきました。例として、人類の時間と空間の認識の歴史について見てみます。まず、コペルニクス的転回の由来となった「天動説」から「地動説」への移行により、それまでの地球中心の空間認識からの脱却が行われました。次に、アインシュタインの特殊相対性理論により、「絶対時間」が否定され、時間と空間は切り離せない「時空」に統一されました。さらに同じくアインシュタインの一般相対性理論により、時空は単なる「容れ物」ではなく、運動を行う力学の対象になりました。そして、永遠不変と考えられていた宇宙は、実はビッグバンから始まり現在まで膨張し続けていることがわかりました。現在、私の研究テーマの一つである重力の量子論(時空の量子論)においては、新たな時空像が得られることが予想されています。例えば近年、量子重力を含む統一理論として期待されている弦理論の研究の文脈において、「創発する時空(幾何)」という新しい概念が生まれました。我々の時空に対する認識は 重力の量子化とあいまって、どのように改められるのか、今後の発展が楽しみです。

話が少し専門的になってしまったかもしれませんが、私は音楽を聴くことが好きで、ジャズやロックからクラッシックまでジャンルは様々です。研究室の学生さんと新旧の音楽について情報交換したり語ったりするのが楽しみの一つです。そのような日々が早く戻ることと、皆さんが健やかに過ごすことを切に願い、筆を置くことにします。