ブログリレー(日下部誠 1)

ブログリレー

創造理学コース 日下部誠

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されてから生活が一変しました。外に出ることも、人と話をすることも憚られる毎日です。いつも賑やかな大学のキャンパスも静まり返っています。私たち教員の生活も大きく変わりました。これまでは、大学に行って、授業をして、研究室で学生さんたちと研究の話をする毎日でした。今、研究室には誰もいません。シーンと静まり返った研究室に入ると、どうしたものかと途方に暮れてしまいます。ただ、ここで暗い気分になっていても仕方ないので、気持ちを切り替えて何か楽しいことはないかと探しているところです。

私の研究の専門は魚類生理学です。研究室ではトゲウオ科のイトヨという魚を飼っています。日々、このイトヨを使って実験しています。研究室で飼育している魚は、誰かが世話をしないと死んでしまいます。これまでは、魚の世話は研究室の学生さんたちに任せていました。でも、大学が閉鎖となってしまったので、私が代わりにやることにしました。魚の世話を一人で全てこなそうとすると、かなり重労働。ところが、久しぶりにやってみると、これが超たのしいのです。

魚の世話というのは、ただエサをやっていればいいというわけではありません。水槽という限られた空間で魚の健康を維持するのは、至難の業です。魚の健康を保つためには魚の表情を見てあげる必要があります。今日は機嫌がいいなとか、今日は何か不満があるぞとか。魚の顔色からの情報を的確に読み取るのが魚の世話の極意だと思っています。うまくいくと魚と会話できている感覚になります。魚とコミュニケーションがとることが究極の楽しみなのかもしれません。

最近は、大学の業務でなかなかゆっくりと魚を見る時間がなく、魚の研究をしつつも、日々見ているのは学生さんが見せてくれる実験結果でした。もちろん、研究はおもしろいので研究の話をするのは楽しいのですが、自分の興味の根本にある「魚」から少し距離があったかもしれないと思い直しました。今の新型コロナウイルスの状況は大変な事態なのですが、今まで当たり前だと思って過ごしてきたことを考え直す良い機会だと思っています。みなさんが受講している在宅講義も今まで経験したことない授業形式です。でも、逆に対面授業であることの意味を改めて考え直す機会になるのではないでしょうか。ポストコロナ社会がこれまでより良くなるように、どこに改善の余地があるかを考えながら生活すると、毎日を前向きな気持ちで過ごせるかもしれませんね。

春になり日が長くなると、魚たちに恋の季節がやってきます。魚の社会は、新型コロナウイルスとは関係なく普通に回っているなぁと思いながら、今日も水槽を眺めています。