ブログリレー(鈴木雄太郎)

ブログリレー

地球科学科 鈴木雄太郎

インガ⤴︎ プロブレム

肌寒い日もちらほら、長袖に着替え直して、などといった記憶も薄れつつある今日この頃、ようやく緊急事態宣言の解除がささやかれ始めました。日本のコロナ対応に対しては、当初諸外国からの厳しい指摘も相次いでおり、否が応でもそのような情報を耳にして不安を覚えることも多かったのではないでしょうか。

コロナ対応といえば、日本の他にもユニークな対応策で注目されている国がスウェーデンです。私が研究調査でよくお世話になるスウェーデンが、日本とともに世界的に注目されるという今後二度とないような奇妙な事態が発生しています。

ところで、スウェーデンについてどのようなイメージを持っていますか?高福祉、信じられない消費税率、ノーベル賞、水の都、このようなところでしょうか。日本人にとっては馴染み深いとはいえないスウェーデンですが、実は、個人、家族、親戚、こういったミニマムな構成単位の生活リズムや生き方をとても大切にする国民性を持っています。今回のユニークなコロナ対応についても、根本はこの国民性に由来していると解釈して、勝手に頼もしいな、と感じ入ってました。なぜ、頼もしいのか。調査で訪れる度に “ワーカホリック”な私が色々と失敗して、その度に現地の方々からよく言われた言葉を紹介します。その言葉とはタイトルにある「インガ⤴︎ プロブレム!:Inga problem!」です。

Inga problem!は英語にするとNo problem!となりますが、これは決して虚勢や諦め、または受け流しではなく、どうも、しなやかに色々やってみたらなんとかなるよ、というニュアンスのようです。今回のコロナ禍においても、ミニマムな構成単位の大切なところは大事にしつつ、自らができることをしなやかに行なっているんだろうな、と想像しつつ、そして「インガ⤴︎ プロブレム」が至る所で聞こえてくるのだろうな、とにやけていました。とはいえ、調査の際にいつもお世話になる老夫婦は特に心配で電話してみたところ、感染リスクを抑えるために買い出しなどは息子さんがご近所のご老人達の分まで一括して行なっているとの報告で一安心。続けて伝えてくることは、自分たちが満喫している生活について、白樺や湖が綺麗だぞ、牛を自宅前の放牧地に移したぞ、私の定宿のゲストハウスの芝を刈っておいたぞ、そして果てはお前は今年も来るんだろ?と、私の心配をよそに訪瑞のお誘いまでしてくる次第でした。なんとも梯子を外されてしまった気持ちになりましたが、このようなしなやかさでスウェーデンはコロナを乗り越えてゆくのだろう、と妙に納得しながら電話を終えた次第です。

コロナについては、少し先が見通せる段階になりました。コロナ対応が完了したら………、それでも大切なことを見失わずに「インガ⤴︎ プロブレム!」ですね。